2018年1月9日火曜日

「豆知識集21」いわゆるスーパーフードに関するQ&Aその1

この記事ではいわゆる「スーパーフード」と呼ばれる食品について、それぞれに含まれている栄養素や効果、疑問点について扱っています。相変わらず長文ですがご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。尚、この記事に書かれている事は私個人の意見であり、他の方の考え方を否定するつもりはありません。色んな考え方があって良いと思うので押し付けもしません。同調したい方のみ同調して下されば幸いです。
(記事作成日時:2017/6/18、最終更新日時:2018/1/9)


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★いわゆるスーパーフードと呼ばれる食品一覧及びそれぞれの疑問点

いわゆる「スーパーフード」と呼ばれる食品の定義はかなり曖昧ですが、私としては単に「植物性の食品の中で、少量でも高い栄養価が得られるもの」を言うのだと思われます。よって基本的には野菜類、果物類、ナッツ類などと同じように「栄養価の高い植物性の食品」として扱えば良く、「スーパー」だからと言って決して難しく考える必要はありません。

しかしながら、いかに栄養価の高いスーパーフードをたくさん食べたとしても「その栄養素が正常に代謝される健康状態」でなければ意味がありません。せっかく栄養素を摂ってもそれが体内で効率良く利用されず、そのまま体の外へ出てしまっていたとしたらもったいないですよね。摂った栄養素を効率良く利用するには食習慣以外の生活習慣全体を改善する事が必要であり、食習慣を短期的に変えるだけで「健康になれる」「美しくなれる」などとは安易に考えない事です。

何より、いくらスーパーフードと言っても必ずどこかに欠点があります。その欠点は他で補わなければなりません。例えばスーパーフードは植物性のものが殆どなので、実は「カロリーが低い」という大きな欠点を持っています。カロリーが低いという事は通常なら利点のように思いますが、カロリーが制限されると体はエネルギーを節約しようとする「省エネ体質」になってしまいます。それによってエネルギー消費が最も激しい筋肉が成長できなくなるため、基礎代謝が大きく低下します。つまりカロリーを制限し続けるほど脂肪が燃えにくく溜まりやすい体質になる訳です。その欠点を補うにはカロリーをもたらす糖質や蛋白質、脂肪を別途補給しなければなりません。「スーパー」ではあっても「パーフェクト」ではないのです。

また例えば我々が主食としている「白米」で言えば、白米は確かに「糖質が多い」という欠点があります。しかしそれは「糖を使う習慣を持つ」「糖の代謝を上げ、効率良く利用する」「糖の代謝に関わる栄養素を摂る」事で補う事ができ、補う事ができるならわざわざ消化の悪い玄米を食べなくても済むはずです。栄養価の高い玄米に頼り切って他は何も改善しないようでは、せっかく玄米を食べても多くが無駄になってしまうのではないでしょうか。玄米を利用するなら、むしろ玄米以外を重視すべきだと私は思います。健康に良いとされる食品をどのように扱ったら良いのか、今一度ご自身でよく考えてから利用するようにしましょう。

尚、その他様々な留意点については、同じ植物性の食品であるナッツ類をまとめた『「豆知識集19」ナッツ類に関するQ&Aその1』、果物類をまとめた『「豆知識集16」果物類に関するQ&Aその1』、野菜類をまとめた『「豆知識集12」野菜類に関するQ&Aその1』などをご参考下さい。またそれぞれの栄養素(特に五大栄養素)については『「健康に良い」とされる栄養素の一覧(適当まとめ)』、その他過去記事をご覧いただければと思います。


●クロレラ

細胞の中には「細胞核」という核が存在しますが、その細胞核が存在する細胞を持つ生物の事を「真核生物」と言います。また一つの細胞のみからできている生物の事を「単細胞生物」と言いますが、クロレラはその単細胞生物の一種です。身近な分類としては淡水に住む「藻」の仲間として知られています。当然「植物」の一種であり、他の植物と同様に光合成をする事ができます。光合成能力が高く、太陽光・二酸化炭素・水・ミネラル等の環境があれば、簡単に大量増殖させる事ができます。

クロレラは極めて栄養価が高く、蛋白質、βカロテン、ビタミンB群(ビタミンB12以外)、ビタミンE、ビタミンK、鉄分、亜鉛(品種による)、マグネシウム、カリウム、食物繊維をいずれも豊富に含んでいます。特に蛋白質を豊富に含んでおり、同じ量を食べた場合、乾燥させた魚の干物と同程度かそれ以上の含有量がある言われています。逆に糖質と脂肪に関しては殆ど含まれていませんが、含まれる蛋白質の量があまりに多いため、植物性の食品の中ではややカロリーが高くなっています。

敢えて欠点を挙げるとすればまずカルシウムの含有量ですね。カルシウムはナッツ類のアーモンドと同程度、ゴマと比べれば1/5程度しかありません。全く含まれていないという訳ではないのですが、特別多いという訳でもないため、クロレラだけではカルシウムが不足する可能性は否定できません。またクロレラにはビタミンCも含まれていますが、これも一般的な緑黄色野菜・果物と同程度であり、やはり特別多いとは言えません。そして脂溶性ビタミン。クロレラに含まれる脂溶性ビタミンはビタミンEとビタミンKですが、脂溶性ビタミンは大量に摂取すると体に蓄積し、様々な悪い症状を引き起こす可能性があります。クロレラにはビタミンEとビタミンKが大量に含まれているので、これを定期的に食べ続ける事はあまりオススメできません。

またクロレラには「クロロフィル」という成分が豊富に含まれています。これは植物が光合成をする際に太陽の光を吸収する「葉緑体」の事なのですが、体内に蓄積すると目や肌などが光に対して過敏になる事があります。これを「光線過敏症」と言います。クロレラの大量摂取によっては稀にそのような症状が起こるという事が報告されており、やはり過剰摂取には十分な注意が必要でしょう。ちなみにクロロフィルには抗菌・抗酸化・コレステロール値低下等の良い効果もあるとされているのですが、実際にそのような効果があるかについてはまだよく分かっていません。

尚、我々がクロレラを口にする際には既に粉末・カプセル・錠剤の状態が殆どであり、大抵の場合、健康に害がないレベルにまで薄められています。これは前述のように栄養価があまりに高すぎるので、万が一の過剰摂取による副作用を抑えるためです。それを踏まえると、クロレラを売りにする健康商品の多くは、その辺に売っているマルチビタミンやマルチミネラルと結局あまり変わらず、それを利用するメリットがあると言い切る事はできないでしょう。絶対悪とは言いませんし、一度試してみるのも構いませんが私はオススメしません。


●スピルリナ

スピルリナはバクテリア(真性細菌)の一種ですが、クロレラとは違って原核生物に分類され、細胞核は存在しません。一方クロレラと同じく「藻」の仲間で、他の植物と同じくやはり光合成をする事ができます。スピルリナは熱帯地域にある強いアルカリ性の湖などに存在しており、現地住民の食料としてよく利用されています。現在ではその栄養価の高さから注目されており、熱帯地方を中心に工業的にも生産が進められています。ちなみにスピルリナを食品として工業的に生産したのは日本の会社が初めてだそうです。

スピルリナも極めて栄養価が高く、蛋白質、カロテノイド(βカロテン、ゼアキサンチン等)、ビタミンB群(ビタミンB12以外)、ビタミンE、ビタミンK、カリウム、マグネシウム、鉄分、食物繊維をいずれも豊富に含んでいます。この内では特にカロテノイドに秀でており、全食品でもトップクラスと言って良いほどの含有量を誇っています。ちなみにフラミンゴ特有の赤い色は、スピルリナに含まれる豊富なカロテノイドによるものと言われています。それほど含有量が高いのです。

スピルリナをクロレラと比べるとすれば、蛋白質・パントテン酸は同程度、βカロテン、ビタミンB1・ナトリウム・カリウムはスピルリナ、ビタミンB2・ナイアシン・葉酸・ビタミンB6・ビタミンE・ビタミンK・カルシウム・マグネシウム・鉄分はクロレラ・・・という感じです。一方それらの「多い」とされる栄養素と比べると、ビタミンC・カルシウム・亜鉛(品種による)などの含有量はそこまで高くなく、糖質・脂肪・ビタミンB12は殆ど含まれていない事が両者には共通しています。つまりそれらは別の食品で補う必要があるという事です。

尚、スピルリナにもクロレラ同様クロロフィルが豊富に含まれており、体内に蓄積すると目や肌などが光に対して過敏になる事があります。やはり過剰摂取には十分な注意が必要でしょう。またやはりスピルリナも我々が口にする際には既に粉末・カプセル・錠剤の状態である事が殆どであり、大抵健康に害がないレベルにまで薄められています。つまりその辺に売っているマルチビタミンやマルチミネラルと結局あまり変わらず、スピルリナを含む健康食品を利用するメリットがあると言い切る事はできません。


●ユーグレナ

ユーグレナもクロレラと同じく真核生物及び単細胞生物の一種で、栄養豊かな淡水に住む「藻」の仲間です。日本人の間では一般的に「ミドリムシ(虫ではない)」という名でよく知られています。当然ミドリムシも「植物」の一種なので、他の植物と同様に光合成をする事ができますが、特にミドリムシはそのような植物の性質と、鞭毛運動(毛のようなものを動かして移動する事ができる)という動物の性質を合わせ持っており、これがその他の植物性の食品と大きく異なっています。

ミドリムシも極めて栄養価が高く、蛋白質、βカロテン、ビタミンB群(ビタミンB12以外)、ビタミンE、ビタミンK、鉄分、亜鉛、マグネシウム、カリウム、食物繊維をいずれも豊富に含んでいます。またエゴマ油などと比べると決して多いとは言えませんが、必須脂肪酸である「ω-3脂肪酸(αリノレン酸、EPA、DHA)」などの脂肪も含んでおり、この点がクロレラやスピルリナと大きく異なっています。更にミドリムシにはパラミロンと呼ばれる成分が含まれています。このパラミロンはβ-グルカンと呼ばれる多糖体の一種(食物繊維のように消化酵素では代謝されない)で、抗酸化作用や抗菌作用など様々な健康効果がある(様々な病気に対して効果があるとされるが実際どうかは不明)と言われています。

尚、やはりユーグレナにもクロロフィルは含まれており、体内に蓄積すると目や肌などが光に対して過敏になる事があります。やはり過剰摂取には十分な注意が必要でしょう。一方、我々が口にする際には既に粉末・カプセル・錠剤の状態である事が殆どであり、大抵健康に害がないレベルにまで薄められています。つまりユーグレナもその辺に売っているマルチビタミンやマルチミネラルと結局あまり変わらず、「ビタミンやミネラルを摂取する」という目的においては、わざわざユーグレナを利用する必要があるとは言えません。ただし必須脂肪酸が含まれるという点は他にないメリットと言えるかもしれません。




●カムカム

カムカムはフトモモ科キブドウ属の植物、及びその果実の事です。原産はペルーなどの南米で、古くから先住民族により食用とされてきました。しかし近年需要の高さもあって野生種を利用し過ぎ、一時絶滅の危機に瀕すほどにまで少なくなってしまったそうです。そのため当時は国外への持ち出しを禁じ、それと共に数十年前から本格的な栽培が行われるようになりました。その努力もあって現在では南米以外でも苗や種を入手する事ができるようになっています。ちなみに現在カムカムを最も輸入しているのは日本だそうです。

カムカムはビタミンCが豊富に含まれているのが大きな特徴です。ビタミンCが豊富に含まれる食品では特にレモンが有名ですが、カムカムに含まれるビタミンCはレモン(皮なし果汁のみ。レモンに含まれるビタミンCは皮に多い)の50倍という含有量を誇っており、これは植物の中で最も含有量が高いと言われています。その他では抗酸化作用があるとされるビタミンEやポリフェノールを含んでいると言われています。またレモンほどではないですが素の状態でかなり酸っぱいため、糖の代謝に関わるクエン酸などの有機酸も豊富に含まれているものと思われます。

例の如くカムカムの欠点を挙げると、まずビタミンC以外のビタミンやミネラルに関しては含有量が低いか殆ど含まれていないと思われ、全体的な栄養価が高いとは決して言えないという点があります。よってカムカムを食べたからと言って、それが美容や健康に直結する事はありません。また我々がカムカムを口にする際にはやはり粉末・カプセル・錠剤の状態である事が殆どであり、大抵健康に害がないレベルにまで薄められています。つまり「ビタミンやミネラルを摂取する」という目的においては他のサプリメントを利用した方が良く、わざわざカムカムを利用する必要があるとは言えません。ポリフェノールもベリー類の方が多いですからね。

尚、ビタミンCに関して言うと、ビタミンCは過剰摂取による副作用が出ないと言われています。そのためカムカムを利用して大量のビタミンCを摂取する事には特にデメリットはありません。しかしビタミンCは水溶性ビタミンのため、体の中に長時間蓄えておく事ができません。つまり一度に大量のビタミンCを摂ったとしてもそれはすぐに体の外へ出てしまい、多くが無駄になってしまうでしょう。ビタミンCは一度に大量摂取するよりも「小まめに分けて」「定期的に」「継続して摂取する」方が効率良く吸収する事ができます。すなわちビタミンCを摂取するという目的であっても、ビタミンCを含む食品やサプリメントは他にもたくさんある訳で、やはりわざわざカムカムを利用する必要があるとは言えないと思います。


●ビーポーレン

ビーポーレン(「ピ」ーポーレンではない)はミツバチが花粉をペレット状にまとめたものです。分かりやすく言うと、花粉を集めているミツバチの足などには黄色っぽい塊が付着していますが、まさにあれがそうです。ビーポーレンはハチミツなどとは違ってハチの分泌物が殆ど含まれておらず、ほぼ純粋に花粉の成分及び植物に付着している菌や細菌などで構成されています。そのため集めた花の種類によって栄養価や栄養成分が大きく変わるという特徴があります。

ビーポーレンは糖質や蛋白質が豊富に含まれている他、脂肪も含まれているためカロリーがそれなりにあり、エネルギー補給に適しています。しかしビタミンやミネラルに関しては殆ど含まれていません。よく「ビーポーレンにはビタミンやミネラルが豊富に含まれる」という情報を聞くのですが、無加工の状態では微量(3%程度とされている。ただし収集する花粉に大きく左右される)なのが基本で、おそらく粉・錠剤・カプセルに加工する際に栄養価を高めるため人工的に付加されたのでしょう。それなら他の食品及びサプリメントで十分なはずです。

また前述のように栄養価・栄養成分はミツバチのいる環境に大きく左右され、含まれるタンパク質の量はそれぞれ異なります。つまり当たり外れが大きいという事です。更にビーポーレンを含む食品を利用する場合、花粉を直接体の中に入れる事になるため、継続利用によってはアレルギー症状(花粉症に限った事ではない)を悪化させる事があるという報告がなされています。それに自然由来であればあるほど何らかの毒性のある不純物が含まれる可能性も否定できません。わざわざビーポーレンを利用する必要があるのかよく見極める必要があるでしょう。


●チアシード

チアシードはシソ科アキギリ属の植物である「チア」の種子の事です。原産は中米とされ、古い記録では16世紀頃既にアステカで栽培されていたと言われています。分類的には穀類であり、栄養価が高い事からトウモロコシ等と同じく古くから重要な栄養源として利用されていました。現在では主に南米やオーストラリアで商業栽培されており、ヨーロッパはもちろん世界的に認知されています。当の日本では健康食品としてここ数年でよく知られるようになりました。

チアシードも非常に栄養価が高く、蛋白質、脂肪、ビタミンB群(ビタミンB12以外)、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄分、亜鉛、食物繊維がいずれも豊富に含まれています。特に他のスーパーフードや穀類と比べて違うのは、含まれる脂肪の多くが「ω-3脂肪酸(α-リノレン酸等)」だという事です。ω-3脂肪酸は体にとって必要不可欠な「必須脂肪酸」の一つであり、これが不足すると脂肪の代謝が悪化する(ω-3脂肪酸とω-6脂肪酸はバランスが重要だが、ω-6は多くの食品に含まれていて過剰摂取のリスクがあり、ω-3は青魚など一部の食品にしか含まれておらず不足しやすい)と言われています。様々な理由で青魚を食べる習慣のない人では摂っておいて損はないでしょう。

欠点を挙げるとすれば、βカロテン、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンKの含まれる量が少ないという事です。つまりチアシードだけではそれらが不足する可能性があり、他の食品で補う必要が出て来るでしょう。また、いかに不足しやすいω-3脂肪酸であっても所詮は「脂肪」であり、脂肪の代謝が狂っている状態で摂っても体に蓄積するだけです。睡眠習慣や運動習慣等生活習慣全体を改善した上で利用するようにしましょう。

ちなみにチアシードには白いホワイトチアシードと黒いブラックチアシードがあります。ホワイトチアシードの方はブラックよりもω-3脂肪酸と食物繊維が豊富で、水を吸って膨らむ性質が強いと言われています。これは水溶性食物繊維によるもので、腸内に長く留まる事で腸内細菌の餌になり、腸内環境を改善する効果があると言われています。またそれによって少ない食事量でも大きな満腹感を得られ、結果として食事全体のカロリーを減らす事ができるかもしれません。しかし前述のようにチアシードだけでは不足する栄養素があるので、食べ合わせには工夫が必要になります。一方、ブラックチアシードはホワイトよりも蛋白質やミネラルが豊富とされており、食事量を減らしたくないのであればブラックの方をオススメします。特に糖が少ないので、糖質制限中のエネルギー補給にオススメです。




●キヌア

キヌアはヒユ科アカザ亜科アカザ属の植物、及びその種子の事です。原産は南米で、栄養価が高い事から数千年前から食用として栽培されてきたと言われています。現在でも南米で栽培されていますが生産量は多くなく、我々が目にする機会はそれほど多くありません。日本では健康食品、特に雑穀の一種としてここ数年でよく知られるようになり、近年需要が高まっています。

キヌアは糖質、蛋白質、ビタミンB群(葉酸は緑黄色野菜に匹敵すると言われるが、ビタミンB12は殆ど含まれず)、マグネシウム、カリウム、鉄分、亜鉛をいずれも豊富に含んでいます。糖質(白米の方が多い)や蛋白質(白米と同程度)以外の栄養素に関しては、我々が主食としている白米と比べて圧倒的に含有量が高く、穀類の中では非常に栄養価の高い食品と言えるでしょう。それだけを聞くと白米の代わりに主食にすれば良いのでは?と思ってしまいますが、実際にはそう上手くはいきません。

実はキヌアの種子の表面には毒性のあるサポニンが含まれており、無加工の状態では食用に適しません。そのまま食すと腹を下します。食す際には水に浸し、念入りにアク抜きを行う必要があります。実はその過程でどうしても栄養価が落ちてしまうため、キヌアの持っている本来の栄養価が得られるかどうかは正直分かりません。また我々が利用する際には既に加工・処理されたものが殆どですが、例え処理されていても「サポニンが全く含まれていない」訳ではないので、大量に食べ続けた場合のデメリットもないとは言えません。利用するのであれば量を調節し、例えば白米の嵩増しとして少量をたまに使う程度にしておきましょう。


●アマランサス

アマランサスはヒユ科ヒユ属の植物、及びその種子の事です。原産はやはり南米で、15世紀頃に存在したインカ帝国において栽培・食用にされた記録が残っています。その後19世紀頃にはインドなどで栽培され、日本には江戸時代に観賞用として伝わったのが最初と言われています。その栄養価の高さから注目されており、近年需要が高まっている食品の一つです。

アマランサスも非常に栄養価が高く、糖質、蛋白質、ビタミンB6・葉酸(ビタミンB群)、マグネシウム、カリウム、鉄分、亜鉛をいずれも豊富に含んでいます。キヌアと違う点はアマランサスの方がビタミンB群の栄養価はやや劣り、鉄分と亜鉛に関してはアマランサスの方が多いという点ですね。一方、アマランサスにはキヌアのようにサポニンが含まれておらず、その点では過剰摂取を心配する必要がありません。

ただしアマランサスもキヌアも白米と同じように糖質が多く含まれているため、大量に食べれば糖を摂り過ぎる事になります。糖は脳や体を動かすために必要なエネルギー源ですが、消費しきれなかった糖は時間経過で脂肪として蓄積され、肥満などの原因になります。急激な血糖値の上下動も体に大きな負担となります。よってアマランサスをそのまま白米の代わりにするだけでは意味がなく、生活習慣全体を見直して「糖を消費する習慣→糖の代謝が上がる→糖を摂取しても消費できる」というサイクルを作る事が重要です。何度も言うように食習慣を短期的に変えるだけで健康が手に入ったら誰も苦労しませんからね。


●ブラックシード(クミン)

ブラックシードはセリ目セリ科の植物であるクミンの種子(正確には果実)の事です。原産はエジプトで、紀元前数千年からスパイスの一種として栽培・食用にされてきました。現在でもインド料理やトルコ料理、メキシコ料理などによく使われており、世界中で利用されています。ちなみに日本ではウマゼリと呼ばれる事があります。

ブラックシードも非常に栄養価が高く、糖、蛋白質、脂肪、ビタミンB群(ビタミンB12以外)、ビタミンE、カルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄分、亜鉛、食物繊維をいずれも豊富に含んでいます。この内では特にカルシウム、マグネシウム、カリウム、鉄分に秀でています。その他では特有の辛味と匂いをもたらすクミンアルデヒドが含まれており、食欲を増進する作用があると言われています。

またブラックシードは脂肪を豊富に含んでいます。その多くは不飽和脂肪酸で、その内一価不飽和脂肪酸のオレイン酸と多価不飽和脂肪酸のリノール酸が多く含まれています。オレイン酸は必須ではありませんが、悪玉コレステロールを減らしてくれるなどの効果を持っており、トランス脂肪酸などと違って悪さをしない脂肪として知られています。一方でリノール酸は必須脂肪酸であるω-6脂肪酸の一つですが、多くの食品に含まれているため過剰摂取のリスクがあります。過剰摂取するとアレルギー症状を悪化させるなど悪さをする事が知られています。

以上よりブラックシードは確かに栄養価は高いのですが、食べ過ぎには注意が必要でしょう。そもそもブラックシードは香辛料として使われている事から、ブラックシードだけをそのままの状態で食べたり、普段の食事に追加数だけというのはあまりオススメしません。基本的にはやはり味を整える調味料として利用する事になるでしょう。尚、糖・脂肪・蛋白質が共に豊富に含まれている事からカロリーが高いため、エネルギー補給を目的に利用する場合にはオススメの食品になります。