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2018年5月24日木曜日

アルカリ性の食べ物=健康に良い・・・本当?

アルカリ性は酸性と対になっており、アルカリ性となっている場所に酸性の物質が入ってくればそのアルカリ性が薄まり、酸性となっている場所にアルカリ性の物質が入ればその酸性が薄まります。これを「中和する」と言います。例えば胃の表面にある粘膜から分泌される胃液は強い酸性なので、胃液が分泌されて胃の中が酸性になった場合、そのままでは胃の壁を溶かしてしまいます。しかし胃の壁は何層にもなっており、また粘膜から分泌される粘液がアルカリ性なので、例え胃液が分泌されても中和、また粘液によって胃の壁を保護する事ができます。

この事から、アルカリ性の食べ物を食べる事によって「中和する=健康に良い」という考え方がありますが、胃液に含まれる胃酸は「塩酸」という非常に強力な酸の一種が含まれており、食べ物のアルカリ性程度ではとても中和する事はできません。何よりそのような強力な酸であっても、粘膜・粘液の機能が正常であれば問題ない訳ですから、食べ物の酸性・アルカリ性が胃の中に何らかの影響を与える事は殆どないと言って良いでしょう。尚、胃自体が原因になる事はあり、何らかの理由で胃の粘膜・粘液の持つバリア機能が弱まっていたり、そのバリア機能以上に胃液が大量に分泌された場合、胃の壁は簡単に溶かされてしまいます。

さて本題ですが、人間の体には「恒常性」という機能が備わっています。これは体の中で何らかの偏りが発生してしまった時、それを標準の範囲内に戻そうと調節する機能の事です。例えば食事をして血糖値が上がると血糖値を下げようとインスリンが分泌されます。逆に血糖値が下がったら血糖値を上げようとアドレナリンなどが分泌されます。そうしてバランスを取っているのです。つまり、もし仮に酸性・アルカリ性どちらか一方に偏ってしまったとしても、それはすぐに修正され、元の状態に戻されます。よって例えば酸性を持つとされる肉を大量に食べ続け、体が酸性になるなんて事はあり得ませんし、逆に野菜をたくさん食べたからと言ってアルカリ性になるなんて事もありません。確かに「活性酸素が大量に発生して細胞が酸化しやすくなる」という事はあり得ますが、それとは切り離して考えるべきでしょう。

ちなみに胃の次にある十二指腸で分泌される消化液(膵液・胆汁)は弱いアルカリ性とされており、胃液による酸で溶かし切れなかった食べ物、胃液自体の酸、食べ物自体の酸(クエン酸とか)を一緒に中和する事ができます。それによって酸性を薄める事ができれば、腸の表面を保護する事ができ、保護しながらも消化・吸収を促す事ができます。もちろん前述のように胃液は強力な酸なので、それが過剰分泌される事で胃や腸の中が酸性に傾きやすくなる=疾患に繋がるという事はあり得ますが、それはその時に食べた食べ物による影響ではありませんよね。よってやはり食べ物の酸性・アルカリ性は特に気にする必要はない(そもそも本当に酸性?本当にアルカリ性?という根本的な疑問もある)でしょう。