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2018年5月13日日曜日

「豆知識集8」人体に存在する臓器の役割・用語等まとめ

この記事では人体に存在するそれぞれの「臓器」とそれに関する様々な用語等について簡単にまとめています。相変わらず長文ですが、ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。尚、この記事に書かれている事は私個人の意見であり、他の方の考え方を否定するつもりはありません。色んな考え方があって良いと思うので押し付けもしません。同調したい方のみ同調して下されば幸いです。
(記事作成日時:2017/11/14、最終更新日時:2018/5/13)


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●心臓

心臓は血液を循環させる機能を持つ臓器で、全身の細胞へ血液を送る役割があります。心臓は筋肉でできており、腕や足などと同じ「横紋筋」の一種です。しかし他とは違って「心筋」とも呼ばれる特別な筋肉であり、自分の意志では動かす事ができず、常に自律的な収縮を繰り返します。これによって安定的かつ持続的に心臓内の血液をポンプのように送り出しています。

心臓にある細胞は常に自律的に動いているので、例えば心臓から切り取った細胞は例え血液が循環していなくても、内部に残っていたエネルギーを使って自律的に脈動を続ける事ができます。しかししばらく経つとやはりエネルギーが切れ、その細胞は動かなくなってしまいますから、自律的な脈動を続けるためには心臓にあるそれぞれの細胞へエネルギーを補給し続けなければなりません。つまり心臓では血液を通し、常に酸素やブドウ糖といったエネルギーを受け取り続ける必要がある訳です。また二酸化炭素や古くなった細胞の破片などの老廃物も、心臓内に溜まらないよう常に排出し続けなければなりません。

よって、もし一時的にでも心臓にある血管が詰まると、そこから先にある細胞はすぐに機能を失い、スムーズな脈動ができなくなります。心臓に限らず筋肉は電気信号によって収縮していますが、特に心臓はポンプのように血液を送り出すために、心臓の上から下、あるいは下から上へというように、滑らかに電気信号が伝わらなければ動きません。つまりその緻密な連動が重要なので、太い血管はもちろん細い血管が詰まるだけでも深刻な問題を引き起こします。例えば腕や足の筋肉は血流が止まると細胞は死ぬ事がありますが、心臓の場合はその修復を待つ時間が許されず、脈動がスムーズに行えなくなった時点で命に関わります。

そんな心臓内は左右で区切られており、上部から右心房と左心房、その下に右心室と左心室があります。右心房は上から繋がる上大静脈、下から繋がる下大静脈と繋がっており、そこから流入する静脈血を右心房→右心室と送り、そこから心臓の中央付近にあって肺へ繋がる肺動脈へと送り出します。ただしそのままだと右心室の血液が右心房に逆流する事があるので、それを防ぐために右心室と右心房は弁で区切られています。またこの肺動脈は静脈血が流れる唯一の動脈で、血液を勢い良く送り出し、肺へ二酸化炭素を速やかに排出します。そうして二酸化炭素を排出した後、再び酸素を補給された血液が動脈血となり、肺静脈を流れて心臓に戻ってきます。かなりややこしいですが、このように肺では動脈内を静脈血が流れ、静脈内を動脈血が流れます。そしてその肺静脈は心臓の左側にある左心房から入り、その下にある左心室へと送られ、心臓の中央付近から上へ向かう大動脈へ入ります。こうして大動脈から送られた血液が全身へと運ばれる事になります。

心臓というと体の左側にあるイメージですが、それは心臓の左側から酸素を含んだ血液が大量に流入するためです。しかし電気信号が最初に生まれる場所は心臓の右側上部にある右心房の上側(洞結節)にあります。そこから発生する電気信号を心房全体に伝えながら、まず右心房と右心室の境にある「房室結節」に伝わり、続いて右心房と左心房の中央にある「ヒス束」に伝わります。そのまま心臓の中央を通って心臓の下側にある「脚」という部分まで行くと、そこから細かく枝分かれして心室を覆うように全体へ伝わって上まで戻ってきます。すなわち心臓は「上から下→下から上」という順で動いており、この柔軟な動きによってポンプを実現している訳です。この連動性が非常に重要で、これが前述した「心臓では細い血管が詰まる事でも命に関わる」大きな理由になっています。ちなみに心電図はこの伝わり方を表しています(例えば1回の脈動で一番尖って見える部分では脚に電気信号が伝わっている=右心室・左心室が収縮)。

尚、勘違いされる事が多いのですが、心臓はあくまで血液を送るだけであり、血液自体を作る機能はありません。主に血液を作るのは骨の中にある「骨髄(または脾臓)」と呼ばれる組織です。また心臓は自分の意志で動かす事はできませんが、感情によって大きな影響を受ける事があります。例えば恐怖や怒り、緊張を感じた時には脈動が速くなりますし、リラックスしていたり眠気や疲労を感じている時には脈動は遅くなります。もちろん単純に運動を行って大量の血液が必要になった時には、心臓の脈動は速くして全身への酸素の供給量を増やそうとします。脳は心臓を止めるような命令を出す事はできませんが、そのように脈動の速さを状況に応じてコントロールしています。

ちなみに前述のように心臓は電気信号によって動いており、外部から大きな衝撃を受けるとその電気信号が乱れ、一時的に心臓がスムーズに動かなくなったり、場合によっては止まってしまう事があります。これを「心臓震盪」と呼び、それに伴う心臓の脈動の乱れ(痙攣)を「心室細動や心房細動(ただし細動は心臓震盪以外でも起こる事がある)」と呼びます。実際に胸の正面から強力なパンチを打たれたり、野球のボールが当たる事で心臓が止まってしまったという事例が過去にあります。心臓は銃弾で撃ち込まれたら即死というイメージがありますが、そのように外部から強い衝撃を受ける事でも即死する場合があるんですね。他、何度も言うように心臓は電気信号によって動いているので、当然感電すると心臓の動きが乱れます。非常に稀な事ですが、コンセント程度の電気でもそれが心臓を通ってしまうと大変危険です。




●肝臓

肝臓はお腹の右上付近(右の肋骨)に位置している臓器で、実は人間の臓器の中で最も大きな臓器(1~1.5kgほど)となっています。口から入ってきた食べ物は胃や腸で消化・吸収された後、一旦肝臓へと運ばれます。殆どの栄養素はこの肝臓内にある様々な酵素によって処理され、人間の細胞が利用できる形にしてから全身へ運ばれます。またその際には人間にとって不要な異物や毒物等を分解・処理して排出を促すという事もしています。他、肝臓は十二指腸内で脂肪を消化・吸収するための酵素である「胆汁」を作る役割もあり、それを胆管を通して「胆嚢」へと送っています。

肝臓はよく「沈黙の臓器」などと呼ばれますが、これは肝臓内にある一部の細胞に異常が出ても、その他の細胞で代替できるほど元々の能力が高いからです。そのため1日2日暴飲暴食をしたぐらいで肝臓が深刻なダメージを受ける事は殆どありませんが、「体調が悪い」と自覚できる頃には既に肝臓内にある多くの細胞が悪くなっていて、病院に行っても「手遅れ」というケースが多いのです。前述のように肝臓は食習慣による影響を強く受ける臓器なので、肝臓を健康に保つ=長寿のためには長期的な食習慣の改善が必要(ただし前述のように栄養素の代謝に関わるので、自律神経を整える睡眠・運動習慣の改善やストレスコントロールも重要)です。尚、他の殆どの臓器は物理的な損傷をしても自力では元に戻りませんが、肝臓は自己修復能力も非常に高く、50%以上切除しても1週間程度で元の大きさに戻ると言われています。

これは余談になりますが、ボクシング等の格闘技では相手の右脇腹付近を狙うパンチの事を「レバーブロー」と呼びます。肝臓は一応肋骨で守られていますが、お腹の前面とは違って厚い筋肉がありません。そこに大きな衝撃を与えると肝臓が損傷を受け、大量の血液が奪われ、スタミナを削る事ができます。また左右にある肋骨の中央、いわゆる鳩尾(みぞおち)の奥(胃の後ろ側付近)には、臓器へ電気信号を送るための神経が密集している場所がある他、呼吸に必要な横隔膜もある場所なので、そこに大きな衝撃が加わると電気信号が遮断及び激しく乱れ、一時的に呼吸ができなくなる事もあります。


●腎臓

腎臓は腰の上付近(背中側、横隔膜の下)に左右それぞれ1つずつある臓器で、ソラマメのような形(縦10cmほど)をしています。特に腎臓は体の中を回ってきた血液・水分等を濾過し、尿を作って老廃物を体の外へ排出しています。また同時に体に必要なものは再吸収する事ができ、いわば「フィルター」のような役割を持っています。体の中を巡ってきた様々なものが到達する最終地点とも言え、老廃物を体の中に残さないという点で非常に重要な臓器と言えるでしょう。

例えばナトリウムの過剰摂取で血圧が上がるのは、脳下垂体から分泌された「バソプレシン(抗利尿ホルモン)」により、腎臓内における水分の再吸収が促進され、それによって血液中の水分量が増え、心臓の脈動が強くなるからです。現代人はナトリウムを摂取する機会が多く、知らず知らずの内に腎臓へ負担をかけている事があります。また前述のように腎臓は最終地点とも言える場所なので、体の様々な組織で処理し切れなかったものが多いほど負担が増えます。よって腎臓へ負担をかけないためには腎臓へ至るまでに消費できるものは消費しておき、できるだけ処理量が少なくて済むようにする事が重要です。特に胃腸や肝臓の長期的な不調(暴飲暴食や栄養失調等)、そして運動不足や睡眠不足は腎臓の不調には大きな関連性があります。

その他、腎臓には腎臓内に流入する血流が不足した際、血管を収縮させて血圧を上昇させる機能もあります。血圧の急激な上昇は前述のようにナトリウムの過剰摂取の他、急激な気温の低下、心身の興奮、加齢による血管の衰え等によって起こる事がありますが、腎臓へ続く血管に何らかの異常があったり、腎臓以外の様々な用途において大量の血液が使われたりした際、腎臓内の血液が不足する事でも血圧が急激に上昇する事があります。高血圧の原因は意外にも腎臓にあるかもしれません。




●膵臓

膵臓は胃の後ろ側にある小さく薄い臓器で、特にインスリンを分泌させる機能がある事で知られています。インスリンは人体では唯一血糖値を下げる働きを持つホルモンで、糖を細胞へ取り込ませる役割があります。糖は細胞のエネルギーなので、インスリンを分泌させる膵臓がなければ細胞はエネルギーを得られず、その機能を失ってしまいます。そのため膵臓も人間が生命活動を続ける上で非常に重要な役割を持つ臓器の一つでしょう。

また膵臓はインスリンで血糖値が下がり過ぎないようにするためにも必要で、逆に血糖値を上げる働きを持つ「グルカゴン」、成長ホルモン・インスリン・グルカゴン・胃腸等の働きを抑制する「ソマトスタチン」などを分泌する機能もあります。更に膵臓は「膵液」を作っています。膵液は糖、蛋白質、脂質を全て分解する事のできる重要な消化酵素であり、それを膵管を通して十二指腸へ送り、消化・吸収を促すという事もしています。

しかし膵臓はそのように非常に重要な役割を持ちながら、悪くなった時に早期発見・治療が難しい臓器でもあります。まず膵臓が悪くなるとインスリンの分泌が悪くなるので血糖値が上がりやすくなります。つまり糖が細胞へ上手く吸収されないため、膵臓を含むあらゆる細胞の機能が低下し、長期的には代謝が悪化して肥満体型になったり、単純に頭や体が重く感じたり、末期では逆に体重が減少しやすくなります。しかし一方で膵臓はグルカゴンも分泌しているので、膵臓が悪くなると逆に血糖値が下がりやすくなる事もあります。つまり上下動が激しくなる訳です。日本人は血糖値が高い=健康に悪いという事はよく知っていますが、血糖値が低過ぎる=健康に悪いという事はあまり意識していない人が多いです。そのため血糖値の上がり幅にばかり注意し、糖質の多い食事が原因と勝手に決めつけてしまうと、血糖値の下がり幅=膵臓の異常を見逃してしまう事があります。これも発見を遅らせる理由の一つです。

また膵臓が不調になると血糖値の上下動が激しくなるため、例えば食後に血糖値の上がった状態が長く続くと眠くなったり、血糖値が下がった状態が長く続くと頭痛や目眩などが起こる事があります。しかし「満腹になって眠くなる」というのは誰でも起こる事であり、それが血糖値の激しい上下動が原因?膵臓が悪い?などと気づくのは非常に難しいです。更に言うと、そのように「血糖値の上昇が原因で眠くなる」という症状が出ているならまだマシで、それが出ない人では何の自覚症状も出ないという事ですから、気づいた時には膵臓が悪くなっているという事があります。そもそも膵臓の不調を知る事ができるその「血糖値」に関しても、長年膵臓が悪くて血糖値を常にチェックしている人とは違い、健康な人あるいは自分は健康だと思っている人ほど血糖値を計測していないですからね。そのような人は気づく機会すらないでしょう。

その他、膵臓は一度癌になると他の臓器へ転移しやすいという特徴も持っています。これは膵臓の近くに様々な臓器、血管、リンパ、神経、骨等が密集しているからで、運良く早期に発見できたとしても既に他の組織に転移している事が多く、長期的な治療が難しいのです。いずれにしろ癌は早い段階で手術で取り除いてしまう事が一番効果的なのですが、前述のように膵臓は小さくて薄く、しかも胃と背骨の間にあるので、悪くなった部分だけ取り除く(膵臓そのものを取り除く訳には行かず、既に周囲へ転移している事が多いため移植も難しい)のが難しい臓器なのです。これも膵臓の治療が難しい理由になっています。

であるならば膵臓を傷めない予防が重要になります。現代人の食習慣で膵臓を労るのは中々難しいですが、一番重要なのはやはり血糖値の上下動をどれだけ抑えられるかでしょう。例えば暴飲暴食での糖質の過剰摂取、断食のような極端な糖質の制限はもちろん、食事の間隔が空いた際の大量飲食、食事の量や内容に関わらず食事の間隔が短い等です。食習慣全体の長期的な改善が必要です。




●脾臓

脾臓は左肋骨の上側付近(左の上腹部。また上は横隔膜、内側は左の腎臓に接し、前には胃がある)に位置する臓器です。大きさは10cm程度と小さいですが、血液を溜めて免疫に関わるリンパ球(特定の分子に結合しそれを無効化する)を成熟させたり、古くなった血球を破壊する機能を持っています。また血液は主に骨の中にある骨髄という組織で作られますが、何らかの原因で大量の血液が必要となった時には脾臓内でも血液を作る事があります。

尚、脾臓は他の臓器で機能を代用する事ができるため、摘出しても直ちに健康に害が出る事はありません。ただし前述のように免疫に対しては一定の役割を持っていると考えられており、摘出すると感染症(例えばインフルエンザなど)に罹った際に重症化しやすくなると言われています。風邪を引きやすかったり、引いた時に中々治らないのは、もしかしたら脾臓の活動が弱っている事が関係しているかもしれません。

その他、例えば食後においては消化・吸収のために胃や腸、肝臓などへの血流が増える事になりますが、大量飲食をしていたり、あるいはその直後に激しい運動を行うと、筋肉や肺といった運動に必要な組織への血液が一時的に足りなくなる事があります。その時、脾臓内に蓄えておいた血液を一時的に使う事があり、これでいわゆる「横っ腹が痛い」という状態になると言われています。


●肺

肺は空気中から酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するための臓器です。口から入った空気は気管を通り、そこから左右に枝分かれした気管支を通って肺へと送られます。肺の内部には「肺胞」と呼ばれるブドウのように密集した小さな組織がたくさんあり、気管支は更に細かく枝分かれしてそれぞれの肺胞に繋がっています。

肺胞は空気と血液との間でガス交換を行い、肺胞内に溜まった酸素を血液中に取り込み、また血液中に溶け込んだ二酸化炭素を肺胞内へ排出する事ができます。これは血液中のヘモグロビンに一定の酸素分圧中で酸素と結合する性質があるためで、これによって空気中の酸素を効率良く血液に取り込む事ができるのです。ちなみに肺は胸の左右に1つずつあり、その下は横隔膜で仕切られるような形になっていますが、肺は左右対称ではなく、左の肺の方が心臓がある分少しだけ小さくなっています。

一方、二酸化炭素は元々酸素よりも空気中に含まれる量が少ないため、呼吸で空気を吸った時に肺胞内に入る二酸化炭素の量は元々少ないはずです。もちろん一部の二酸化炭素は肺胞内に入りますが、二酸化炭素は酸素よりも水の方に溶けやすいため、赤血球よりも主に血漿に溶けて全身へと運ばれます。二酸化炭素は水に溶けると炭酸になるので、例え肺胞内から血液(血漿)に溶けても多くが使われる事なくそのまま運ばれます。そして酸素が使われた結果として生まれた二酸化炭素と合わせ、再び肺胞に戻ってきて酸素分圧が高く二酸化炭素分圧の低い肺胞内へ排出されます。こうして吐いた息に二酸化炭素が含まれるのです。例えば一酸化炭素は酸素よりもヘモグロビンと強く結びつくため、酸素よりも優先して取り込まれ、これにより酸欠になります。

尚、空気に含まれるのは酸素や二酸化炭素だけではありません。人体にとって不要な物質や有害な物質も含まれている事がある訳です。そういった物質はまず鼻・口・喉の粘膜の表面にある粘液で絡め取られ、痰や鼻水として体の外へ排出したり、あるいはそれを胃や腸の中へ送って溶かす事で、できるだけ肺の中に入らないようにしています。また例え気管に入ったとしても咳などによって排出を促され、気管や肺の中は常に清潔に保たれます。更に、万が一肺胞内から血液中に入ってきたとしても、リンパ球や白血球などの免疫細胞によって無害化されますし、肝臓や腎臓などによっても無害化されます。このように人間の体には何重ものセキュリティがあるのです。




●食道

食道は口から入ってきた食べ物を胃へと運ぶ役割を持つ臓器です。食道は食べ物が入ってくるとその周囲の筋肉が収縮し、それを順に下方向へ繰り返す事で胃へと運びます。これを「蠕動活動」と言います。この際の収縮は自律神経を通じて不随意的に行われますが、液体では数秒、固体でも遅くて数十秒程度で胃へ送る事ができます。また食道の表面には粘液があり、食べ物の滑りを良くする他、異物がある場合にはそれを絡め取って口から外へ排出したり、一緒に胃へ送って溶かす防御の役割もあります。

尚、喉付近の粘膜は非常に敏感ですが、食道にある粘膜は鈍感で、味、温度、痛みなどを殆ど感じません。よって何らかの違和感を感じた頃には既に悪くなっている事が多いです。また食べ物や飲み物が何度も通るので新陳代謝は活発なのですが、その新陳代謝が崩れる事もあり、自覚が出ている時点で相当のダメージ蓄積があると考えるべきです。例えば元々辛い食べ物、温度の高い食べ物、よく噛まずに運んだ食べ物、アルコールなどに強く、それを日常的に食す習慣がある人では、自分では平気だと思っていても、実際には舌の上、口の中、食道へダメージが蓄積されているという事が結構あります。


●胃

胃は食道から運ばれてきた食べ物を消化・分解し、続く十二指腸へ送る役割を持つ臓器です。胃の大きさは個人差が大きいですが、何も食べ物が入っていない時には拳程度の大きさしかなく、満腹状態ではゴムのように広がって1リットル以上の容量を有します。胃の入口と出口はやや狭くなっていますが、そのように胃は伸び縮みする事ができるので、一度に大量の食べ物が入ってきてもそれを一時的に蓄えた上でまとめて消化する事ができます。

胃の中にある食べ物を消化するための消化液は塩酸を含む強力な「胃液」で、副交感神経から分泌されるアセチルコリンやアレルギー・炎症反応に関与するヒスタミンなどの刺激によって分泌されます。この時に分解されるのは主に蛋白質です。ただし胃液はあまりに強力で、そのまま分泌すると胃の壁にある蛋白質までも溶かしてしまう事があります。そのため胃の壁は何層も重なっており、特に表面の粘膜は粘液で覆われています。また実は酸性になり過ぎないよう重曹も作られており、それらによって胃は守られています。一方、そのバランスが崩れると簡単に胃の壁が溶かされ、胃潰瘍などになってしまいます。

この事から、例えば胃の壁の厚さ、粘膜の強さ、粘液の量、胃液の強さ、胃液の量などは、子どもが成長して体を大きく際、あるいはスポーツ選手が体を大きくしていく上では重要なポイントになると言えると思います。これは生まれつきの要素ももちろん関係してきますが、小さい頃からの生活習慣の積み重ねによる影響も大きく、胃腸を健全に育てるような食習慣、運動習慣、睡眠習慣、ストレスコントロールが必要です。




●十二指腸・小腸

十二指腸は胃と小腸を繋いでいる臓器で、胃では消化・分解し切れなかった食べ物を更に消化・分解する役割を持っています。特に十二指腸は栄養素の吸収に特化しており、膵臓から分泌された膵液や肝臓で作られた胆汁などを使って分解し、腸の表面にある絨毛から様々な栄養素を吸収します。また十二指腸では酸性化したものを中和するための粘液も分泌しており、これによって十二指腸の表面も守っています。

十二指腸はその後「空腸」そして「回腸」へと続いており、これらを合わせて「小腸」と呼んでいます。空腸の前部では前述のように十二指腸と同じ活動が見られますが、空腸から回腸へと進んでいくとそれが少しずつ沈静化していき、回腸の最後では殆ど見られなくなります。しかし空腸と回腸にはリンパ組織が密集していて、そこでリンパ球などの免疫細胞を作っています。更に腸に自体に異物を「異物」と判断して吸収させず、また仮に吸収しても再び腸内へ排出する機能があり、このように小腸は免疫機能において非常に重要な役割を持っていると言えます。

尚、妊娠中では分泌される女性ホルモンの一種「プロゲステロン」の影響で、腸内の蠕動活動が抑制されます。また胎児が大きくなってくると腸が圧迫され、それによっても活動が制限されます。それが起こると、腸内を通る消化物をゆっくり通過させる事ができるので、様々な栄養素の吸収率が高まるようになります。逆に言えばこの間は服用している薬の効果や、普段何気なく口にしている食べ物による影響が出やすくなるという事でもあり、人によっては副作用が強く出るようになる事もあるので注意が必要です。特定のサプリメント、ハーブ、漢方薬などが「妊娠中は禁忌」と言われるのはこれがあるからです。


●大腸

大腸は回腸の先に繋がっている臓器で、主に便を作る役割を持っています。大腸は上行結腸→横行結腸→下行結腸と続き、最後に直腸から肛門へと繋がっています。上行結腸は上方向に行かなければならないため、蠕動活動によって上へと運び、その後横行結腸は横向きになっています。このため回腸と上行結腸の繋がる最初の部分には弁があり、万が一大腸内の便が回腸へ逆流しないように防いでいます。この弁がある場所はいわゆる「盲腸」と呼ばれており、盲腸から下へ細く伸びた「虫垂」はリンパ組織として免疫機能に関与していると考えられています。ただし人間では退化していて他で代用できる他、炎症を起こしやすい場所でもあるので摘出しても健康上は特に問題ありません。

尚、大腸は前述のように便を作る役割を持っています。水分を吸収する機能があり、大腸内の様々な細菌が食物繊維を発酵・分解する事でそれが便の元になります。このため大腸内に来た時点での水分量や食物繊維の多さ、大腸内にある細菌の量やその活動、大腸による水分の吸収率の高さ等が便の硬さに大きな影響を与えます。ここに便通を改善するヒントがありそうです。

ちなみに便秘の際や激しいウイルス性の風邪ではいわゆる「浣腸」をする事があります。浣腸がどうして効果があるのかというと、これは大腸の水分を吸収する機能を利用して水分と一緒に薬剤を吸収させたり、あるいは敢えて吸収させず腸内だけに作用するようにしているからです。