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2017年5月27日土曜日

人間は脳の10%しか使っていない?

「人間は脳の10%しか使っていない」という説は、元々はウィリアム・ヘルマンズという人(作家?写真家?)が、アインシュタインについて書いた本の中で使ったのが最初と言われています。ただし実際にアインシュタイン自身が発言したという証拠はなく、何故かこの言葉だけが独り歩きした事で広まってしまった迷信なのです。本当にアインシュタインがそのような言葉を発したのなら、アインシュタインがどのようなテーマについて話していて、何を表現しようとしてそのような言葉が出てきたのでしょうか・・・私は本を読んだ事がないので分かりませんが。

またこの説は、実際に脳に存在する「グリア細胞」が元になったという説もあります。脳内のグリア細胞は神経細胞よりも豊富に存在していますが、脳科学が発達する以前では「脳内の神経細胞をサポートするのみで、信号の伝達には使われていない」と考えられていました。この事から「脳の90%は使われていない」という説が生まれたそうです。ただしグリア細胞は神経の成長因子や神経同士の繋がり、脳環境の保持など重要な働きをしている事が明らかになっており、グリア細胞が損傷すれば神経細胞も致命的なダメージを受け、何らかの障害を引き起こしてしまいます。ちなみにアメリカのとあるテレビCM(1998年頃?)が元になったという説もあるようです。

これらが元になった「人間は脳の一部しか使っていない」という説は、現在でも信じている人がたくさんいます。何故かというと、近年でも、様々な映画やドラマ、映画、あるいはアニメや漫画などで、何の根拠もなく、繰り返し提唱されているからです。特に日本のテレビ番組なんかでは、例えば脳内における血流の変化を、サーモグラフィーのように見せる映像が流れますよね。あれで視聴者は「血流が多い部分がある=その一部だけが活動している」と勘違いしてしまうのです。しかし実際には血流が多くなっていなくても、グリア細胞や神経細胞は活動しており、決して「その部分だけが活動している」訳ではありません。そもそも脳には代替機能というものもあり、専門とする場所以外の場所でも機能を補う事ができます。その意味でもやはり「この機能はこの場所だけが働く」という事はなく、脳全体が使われているのです。

ちなみに空想の世界では、ガンダムで有名なニュータイプなんかもありますが、あれも同じで、そもそも人間は脳全体を使っているので、一時的にでも脳を100%フルに活動させた所で、何か特殊な能力が発揮できる訳ではありません。また別の見方をすると、それだけ脳をフルに働かせたら、栄養や睡眠が人の何倍も必要になるはずです。もし仮に100%近く働かせる事ができたとしても、それを維持する事の方が難しいのではないでしょうか。