メッセージボード

※当ブログを応援して頂ける方はクリックだけでもお願いします→通販サイトAmazon

2018年6月4日月曜日

運動中に水を飲むとバテる?どうしてミネラルが必要?

「運動中に水を飲むとバテる」という迷信は、少なくとも戦争前後には生まれていたと考えられます。これは水分不足が深刻な戦場(外国)において、喉が渇いた兵士が道端にあった水を飲んでお腹を壊した経験が元となったという説があり、そうした兵士が現場から引退した後、指導者となった際に教え子へ伝えられたそうです。しかし戦争が終わった後もその迷信だけは何故か残り続け、つい最近まで信じられてきました。現在ではそのような方針を貫く指導者の方が批判されますが、未だにそのような指導方針を貫く指導者は数多くおり、日本人にとって非常に根深い迷信の一つだと言えると思います。ちなみに私の経験でも、実際に2000年前後(私が部活動をやっていた中学生や高校生の頃の話)ではまだ私の周囲にそういった指導を行う人がいましたね。

水は1ml=1gの重さがあります。すなわち500mlでは500g、1Lでは1kgになります。それだけの水を一度に胃の中に入れればそれだけ体重が増加するため、体の動きが鈍くなるという事が考えられます。1kgのダンベルをお腹に入れて体を動かすという事ですから当然ですね。しかもその水で満たされた胃が前後左右にバウンドする事になります。よって大量の水を一度に飲み切るというのは当然良くないと言えるでしょう。

また気温の高さに関係なく、筋肉を動かすと体温が上昇します。それに伴って代謝も加速します。体温が上がると人間では汗を皮膚の表面に出す事で熱を逃し、体温を一定に保とうとしますが、その際にはカリウムやナトリウムなどのミネラルが必要になります。特にカリウムは体内のナトリウムと一緒に水分を排出する事で、体内の水分量を調節する働きがあります。これにより水分代謝が整い、汗をかく事ができ、また体の一部分に水分が蓄積する浮腫を予防する事ができるのです。すなわちカリウムが含まれていないような「単なる水」による水分補給では上手く汗をかく事ができなくなり、体温がどんどん上がって体の動きが鈍くなる可能性があります。

しかしそれは「水分補給の仕方によって体が重く感じる」のであって、単に水分補給の仕方が下手なだけです。水分補給が適切に行われていれば、むしろ運動中のパフォーマンス能力を向上させる他、ストレスによる酸化及びタンパク質の分解を抑制する事ができると言われています。水分補給の際には一気に大量の水を飲むのではなく、小まめに少しずつ飲む事。またミネラルや糖を含んだ飲み物を用意する事。そして体温調節機能を司る自律神経が正常に機能するよう、運動時だけでなく普段からの体調管理(規則正しい生活やストレスコントロール等)にも注意する事。それと過度な日焼けに注意する事(皮膚の修復に体液が使われるため、実は脱水症状を加速させてしまう)。これらが大切です。

ちなみに人間以外の生物で汗をかく種は殆どなく、この事が人間が数百キロもの長距離走が可能な要因の一つになっています。人間以外では馬が大量に発汗する事ができますが、それ以外では殆ど汗をかかず、汗を出す以外の方法で体温を下げているのです。例えば犬では舌を空気に晒して頻繁に呼吸する事で体温を下げますし、ゾウでは耳にある血管を冷やす事で体温を下げます。また自然界では水の中に入る事で体温を下げる事ができます。