2018年1月3日水曜日

「豆知識集42」それぞれの臓器・組織(用語等)の役割

この記事では人体に存在するそれぞれの「臓器」や様々な「組織(よく聞く体に関する用語等)」についてかなり適当にまとめています。相変わらず長文ですが、ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。尚、この記事に書かれている事は私個人の意見であり、他の方の考え方を否定するつもりはありません。色んな考え方があって良いと思うので押し付けもしません。同調したい方のみ同調して下されば幸いです。
(記事作成日時:2017/11/14、最終更新日時:2018/1/3)


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人体に存在する臓器の役割について適当に

●心臓

心臓は血液を循環させる機能を持つ臓器で、全身の細胞へ血液を送る役割があります。心臓は筋肉でできており、腕や足などと同じ「横紋筋」の一種です。しかし心臓の筋肉は「心筋」と呼ばれる特別な筋肉であり、自分の意志では動かす事ができず、常に自律的な収縮を繰り返します。これによって継続的に心臓内の血液をポンプのように送り出しており、間違いなく人間が生きる上でなくてはならない臓器と言えるでしょう。

心臓にある細胞は常に自律的に動いているので、例えば心臓から切り取った細胞は例え血液が循環していなくても、内部に残っていたエネルギーを使って自律的に脈動を続ける事ができます。しかししばらく経つとやはりエネルギーが切れ、その細胞は動かなくなってしまいます。よって自律的な脈動を続けるためには、どこからかエネルギーを補給し続けなければなりません。つまり心臓の場合は血液を通し、常に酸素やブドウ糖といったエネルギーを受け取り続ける必要がある訳です。また二酸化炭素や古くなった細胞の破片などの老廃物も、心臓内に溜まらないよう常に排出し続けなければなりません。

よって、もし一時的にでも心臓にある血管が詰まると、そこから先にある細胞が機能を失い、すぐにスムーズな脈動ができなくなります。心臓に限らず筋肉は電気信号によって収縮していますが、特に心臓はポンプのように血液を送り出すために、心臓の上から下、あるいは下から上へというように、滑らかに電気信号が伝わらなければ動きません。つまり心臓にある最も太い血管である「冠動脈」が詰まる事はもちろん深刻なのですが、そこから枝分かれした細い血管が詰まり、そこから先のごく一部分の細胞が一時的に機能を失うだけでも、心臓は正常な脈動を行う事ができなくなります。腕や足の筋肉も血流が止まると細胞が死ぬ事がありますが、心臓の場合はその修復を待つ時間が許されず、脈動がスムーズに行えなくなった時点で命に関わります。人間にとっての明確な弱点ですね。

そんな心臓内は左右で区切られており、上部から右心房と左心房、その下に右心室と左心室があります。右心房は上から繋がる上大静脈、下から繋がる下大静脈と繋がっており、そこから流入する静脈血を右心房→右心室と送り、そこから心臓の中央付近にあって肺へ繋がる肺動脈へと送り出します。ただしそのままだと右心室の血液が右心房に逆流する事があり、それを防ぐために右心室と右心房は弁で区切られています。またそうして送られる肺動脈は静脈血が流れる唯一の動脈で、血液を勢い良く送り出し、肺へ二酸化炭素を速やかに排出します。その後、肺で酸素を補給された血液は今度は動脈血となり、肺静脈を流れて再び心臓に戻ってきます。かなりややこしいですが、このように肺では動脈内を静脈血が流れ、静脈内を動脈血が流れます。そしてその肺静脈は心臓の左側にある左心房から入り、その下にある左心室へと送られ、心臓の中央付近から大動脈へ入ります。こうして血液は全身へと運ばれる事になります。

心臓というと体の左側にあるイメージですが、それは心臓の左側から酸素を含んだ血液が大量に流入するためです。しかし電気信号が最初に生まれる場所は心臓の右側上部にある右心房の上側(洞結節)にあります。そこから発生する電気信号を心房全体に伝えながら、まず右心房と右心室の境にある「房室結節」に伝わり、続いて右心房と左心房の中央にある「ヒス束」に伝わります。そのまま心臓の中央を通って心臓の下側にある「脚」という部分まで行くと、そこから細かく枝分かれして心室を覆うように全体へ伝わって上まで戻ってきます。すなわち心臓は「上から下→下から上」という順で動いており、この柔軟な動きによってポンプを実現している訳です。これが前述した「心臓では細い血管が詰まる事でも命に関わる」大きな理由です。ちなみに心電図もこの伝わり方を表しています(例えば1回の脈動で一番尖って見える部分では脚に電気信号が伝わっている=右心室・左心室が収縮)。

尚、勘違いされる事が多いのですが、心臓はあくまで血液を送るだけであり、血液自体を作る機能はありません。主に血液を作るのは骨の中にある「骨髄」と呼ばれる組織です。また心臓は自分の意志で動かす事はできませんが、感情によって大きな影響を受けます。例えば恐怖や怒り、緊張を感じた時には脈動が速くなりますし、リラックスしていたり眠気や疲労を感じている時には脈動は遅くなります。もちろん単純に運動を行って大量の血液が必要になった時には心臓の脈動は速くなります。脳は心臓を止めるような命令を出す事はできませんが、そのように脈動の速さを状況に応じてコントロールしています。

ちなみに前述のように心臓は電気信号によって動いているので、外部から大きな衝撃を受けるとその電気信号が乱れ、一時的に心臓がスムーズに動かなくなったり、場合によっては止まってしまう事があります。これを「心臓震盪」と呼び、それに伴う心臓の脈動の乱れ(痙攣)を「心室細動」「心房細動」と呼びます。実際に胸の正面からパンチを受けたり、野球ボールが当たる事で心臓が止まったという事例があります。心臓は銃弾で撃ち抜かれたら即死というイメージがありますが、外部から強い衝撃を受ける事でも即死する場合があるんですね。逆に言えばそれは心臓が止まった際に行う心臓マッサージが有効という事の証明にもなっています。その他、何度も言うように心臓は電気信号によって動いているので、感電すると心臓の動きが乱れます。非常に稀な事ですが、コンセント程度の電気でもそれが心臓を通ってしまうと大変危険です。




●肝臓

肝臓はお腹の右上付近(右の肋骨)に位置している臓器で、実は人間の臓器の中で最も大きな臓器(1~1.5kgほど)となっています。口から入ってきた食べ物は胃や腸で消化・吸収された後、一旦肝臓へと運ばれます。殆どの栄養素はこの肝臓内にある様々な酵素によって処理され、人間の細胞が利用できる形にしてから全身へ運ばれます。またその際には人間にとって不要な異物や毒物等を分解・処理して排出を促すという事もしています。そのため肝臓も人間が生きる上でなくてはならない臓器と言えるでしょう。その他、肝臓は十二指腸内で脂肪を消化・吸収するための酵素である「胆汁」を作る役割もあり、それを胆管を通して「胆嚢」へと送っています。

肝臓はよく「沈黙の臓器」などと呼ばれますが、これは肝臓内にある一部の細胞に異常が出ても、その他の細胞で代替できるほど元々の能力が高いからです。そのため1日2日暴飲暴食をしたぐらいで肝臓が深刻なダメージを受ける事は殆どありませんが、「体調が悪い」と自覚できる頃には既に肝臓内にある多くの細胞が悪くなっていて、病院に行っても「手遅れ」というケースが多いのです。前述のように肝臓は食習慣による影響を強く受ける臓器なので、肝臓を健康に保つ=長寿のためには長期的な食習慣の改善が必要(ただし前述のように栄養素の代謝に関わるので、睡眠・運動習慣の改善やストレスコントロールも重要)と言えます。ちなみに肝臓は細胞が損傷した際の修復能力も非常に高く、50%以上切除しても1週間程度で元の大きさに戻ると言われています。

これは余談になりますが、ボクシング等の格闘技では相手の右脇腹付近を狙うパンチの事を「レバーブロー」と呼びます。肝臓は一応肋骨で守られていますが、お腹の前面とは違って厚い筋肉がありません。また内臓の周囲には神経が密集しているので、そこに大きな衝撃が加わると電気信号が遮断及び激しく乱れ、一時的に呼吸ができなくなります。肝臓の内部には痛覚はありませんが、お腹全体を覆っている腹膜には痛覚があるので、そこに損傷が及ぶ事では痛みも伴います。尚、左右にある肋骨の中央、いわゆる鳩尾(みぞおち)の奥(胃の後ろ側付近)には、臓器へ電気信号を送るための神経が密集している場所があり、また呼吸に必要な横隔膜もある場所なので、ここに大きな衝撃を受けると呼吸困難になります。どちらも急所であり、格闘技においては狙うポイントの一つです。


●腎臓

腎臓は腰の上付近(背中側、横隔膜の下)に左右それぞれ1つずつある臓器で、ソラマメのような形(縦10cmほど)をしています。特に体の中を回ってきた血液・水分等を濾過し、尿を作って老廃物を体の外へ排出します。また同時に体に必要なものは再吸収する事ができ、いわば「フィルター」のような役割を持っています。体の中を巡ってきた様々なものが到達する最終地点とも言え、老廃物を体の中に残さないという点で非常に重要な臓器と言えるでしょう。

尚、ナトリウムの過剰摂取で血圧が上がるのは、脳下垂体から分泌された「バソプレシン(抗利尿ホルモン)」により、腎臓内における水分の再吸収が促進され、それによって血液中の水分量が増え、心臓の脈動が強くなるからです。現代人はナトリウムを摂取する機会が多く、知らず知らずの内に腎臓へ負担をかけてしまう事があります。また前述のように腎臓は最終地点とも言える場所なので、体の様々な組織で処理しきれなかったものが多くなるほど負担が増えます。腎臓へ負担をかけないためには腎臓へ至るまでに消費できるものは消費し、できるだけ処理量が少なくて済むようにする必要があります。特に胃腸と肝臓の長期的な不調(暴飲暴食や栄養失調等)、そして運動不足や睡眠不足には十分な注意が必要です。

その他、腎臓には腎臓内に流入する血流が不足した際、血管を収縮させて血圧を上昇させる機能もあります。血圧の急激な上昇は前述のようにナトリウムの過剰摂取の他、急激な気温の低下、心身の興奮、加齢による血管の衰え等によって起こる事がありますが、腎臓へ続く血管に何らかの異常があったり、腎臓以外の様々な用途において大量の血液が使われたりした際、腎臓内の血液が不足する事でも血圧が急激に上昇する事があります。高血圧の原因は意外にも腎臓にあるかもしれません。




●膵臓

膵臓は胃の後ろ側にある小さく薄い臓器で、特にインスリンを分泌させる役割がある事でよく知られています。インスリンは人体では唯一血糖値を下げる働きを持つホルモンで、糖を細胞へ吸収させる役割を持っています。つまりインスリンを分泌させる膵臓がなければ細胞はエネルギーを得られず、その機能を失ってしまいます。そのため人間が生命活動を続ける上で非常に重要な役割を持つ臓器の一つです。

その他、インスリンの影響で血糖値が下がり過ぎないようにするために必要で、血糖値を上げる働きを持つ「グルカゴン」、成長ホルモン・インスリン・グルカゴン・胃腸等の働きを抑制する「ソマトスタチン」などを分泌する機能があります。また膵臓は「膵液」を作っています。膵液は糖、蛋白質、脂質を全て分解する事のできる重要な消化酵素であり、それを膵管を通して十二指腸へ送って消化・吸収を促すという事もしています。

膵臓はそのように非常に重要な役割を持ちながら、悪くなった時に早期発見・治療が難しい臓器でもあります。まず膵臓が悪くなるとインスリンの分泌が悪くなるので血糖値が上がりやすくなります。つまり糖が細胞へ上手く吸収されないため、膵臓を含むあらゆる細胞の機能が低下し、長期的には代謝が悪化して肥満体型になったり、単純に頭や体が重く感じたり、末期では逆に体重が減少しやすくなります。しかし一方で膵臓はグルカゴンも分泌しているので、膵臓が悪くなると逆に血糖値が下がりやすくなる事があります。つまり上下動が激しくなる訳です。日本人は血糖値が高い=健康に悪いという事はよく知っていますが、血糖値が低過ぎる=健康に悪い事は意外と知られていません。血糖値の上がり幅にばかり注意し、糖質の多い食事が原因と勝手に決めつけてしまうと、血糖値の下がり幅=膵臓の異常を見逃してしまう事があります。これも発見を遅らせる理由の一つです。

その他、膵臓が悪くなった事を自覚できるかもしれない症状としては、例えば食後急に血糖値が高くなる事で眠くなったり、それが起こった後今度は急に血糖値が下がる事で目眩や頭痛等を伴う事があります。しかしこれはどこも悪くない健康な人でも起こり得る事であり、そもそも「血糖値」というのは数値として見なければ分からないものですから、食後眠くなって頭痛が起こる=血糖値が原因=膵臓が悪い?とは多くの人が気づきません。長年膵臓が悪く、血糖値を常時チェックしている人はまた別でしょうが、健康な人にとって食後に起こるそういった症状が当たり前であるほど、それが血糖値が原因=膵臓が悪い?と自分で気づく事は難しくなるでしょう。またそのように「血糖値の上昇が原因で食後眠くなる」という症状が出ているのはまだマシで、それが出ない人では何の自覚症状もないという事ですから、その場合には膵臓が悪いと自覚する機会すらありません。

しかも膵臓は一度癌になると他の臓器へ転移しやすいという特徴も持っています。これは膵臓の近くに様々な臓器、血管、リンパ、神経、骨等が密集しているからで、運良く早期に発見できたとしても既に他の組織に転移しており、長期的な治療が難しいのです。よって膵臓癌は早い段階で手術で取り除いてしまう事が一番効果的なのですが、前述のように膵臓が小さくて薄く、胃と背骨の間にあるので、悪くなった部分だけ取り除く(膵臓そのものを取り除く訳には行かず、既に周囲へ転移している事が多いため移植も難しい)にも非常に高い技術が必要になります。これが膵臓の厄介な所です。現代人の食習慣で膵臓を労るのは中々難しいのですが、一番重要なのはやはり血糖値の上下動をどれだけ抑えられるかです。暴飲暴食での糖質の過剰摂取、断食のような極端な糖質の制限はもちろん、食事の間隔が空いた際の大量飲食、食事の量や内容に関わらず食事の間隔が短い等、食習慣全体の長期的な改善が必要です。


●脾臓

脾臓は左肋骨の上側付近(左の上腹部)に位置する臓器です。大きさは10cm程度と小さいですが、血液を溜めて免疫に関わるリンパ球(特定の分子に結合しそれを無効化する)を成熟させたり、古くなった血球を破壊する機能を持っています。また血液は主に骨の中にある骨髄という組織で作られますが、何らかの原因で大量の血液が必要となった時には脾臓内でも血液を作る事があります。例えば食後においては消化・吸収のために胃や腸、肝臓などへの血流が増える事になりますが、この時に激しい運動を行うと筋肉や肺といった運動に必要な組織への血液が一時的に足りなくなる事があります。このため脾臓内に蓄えておいた血液を使う事があり、いわゆる「横っ腹が痛い」という状態になります。

尚、脾臓は他の臓器で機能を代用する事ができるため、摘出しても直ちに健康に害が出る事はありません。ただし前述のように免疫に対しては一定の役割を持っていると考えられており、摘出すると感染症(例えばインフルエンザなど)に罹った際に重症化しやすくなると言われています。




●肺

肺は空気中から酸素を取り込み、二酸化炭素を排出するための臓器です。口から入った空気は気管を通り、そこから左右に枝分かれした気管支を通って肺へと送られます。肺の内部には「肺胞」と呼ばれるブドウのように密集した小さな組織がたくさんあり、気管支は更に細かく枝分かれしてそれぞれの肺胞に繋がっています。肺胞は空気と血液との間でガス交換を行い、肺胞内に溜まった酸素を血液中に取り込み、また血液中に溶け込んだ二酸化炭素を肺胞内へ排出する事ができます。これは血液中のヘモグロビンが一定の酸素分圧中で酸素と結合する性質があるためで、これによって空気中の酸素を効率良く血液に取り込む事ができるのです。尚、肺は胸の左右に1つずつあり、その下は横隔膜で仕切られるような形になっていますが、肺は左右対称ではなく、左の肺の方が心臓がある分少しだけ小さくなっています。

一方、二酸化炭素は元々酸素よりも空気中に含まれる量が少ないため、呼吸で空気を吸った時に肺胞内に入る二酸化炭素の量も少ないです。もちろん一部の二酸化炭素は肺胞内に入りますが、二酸化炭素は酸素よりも水の方に溶けやすいため、赤血球よりも主に血漿に溶けて全身へと運ばれます。二酸化炭素は水に溶けると炭酸になるので、例え肺胞内から血液(血漿)に溶けても多くが使われる事なくそのまま運ばれます。そして酸素が使われた結果として生まれた二酸化炭素と合わせて、再び肺胞に戻ってきて酸素分圧が高く二酸化炭素分圧の低い肺胞内へ排出されます。こうして吐いた息に二酸化炭素が含まれるのです。ちなみに例えば一酸化炭素は酸素よりもヘモグロビンと強く結びつくため、酸素よりも優先して取り込まれ、これにより酸欠になります。

しかし空気に含まれるのは酸素や二酸化炭素だけではありません。この他の人体にとって不要な物質や有害な物質は鼻・口・喉の粘膜の表面にある粘液で絡め取られ、痰や鼻水として体の外へ排出したり、あるいはそれを胃や腸の中へ送って溶かす事で、できるだけ肺の中に入らないようにしています。また例え気管に入ったとしても咳などによって排出を促され、気管や肺の中は常に清潔に保たれます。更に、万が一肺胞内から血液中に入ってきたとしても、リンパ球や白血球などの免疫細胞によって無害化されますし、肝臓や腎臓などによっても無害化されます。人間の体には何重もの防御手段があるのです。


●食道

食道は口から入ってきた食べ物を胃へと運ぶ役割を持つ臓器です。食道は食べ物が入ってくるとその周囲の筋肉が収縮し、それを順に下方向へ繰り返す事で胃へと運びます。これを「蠕動活動」と言います。この際の収縮は自律神経を通じて不随意的に行われますが、液体では数秒、固体でも数十秒程度で胃へ送る事ができます。またその表面には粘液があり、食べ物の滑りを良くする他、異物がある場合にはそれを絡め取って口から外へ排出したり、一緒に胃へ送って溶かす免疫機能もあります。

尚、喉付近の粘膜は非常に敏感ですが、食道にある粘膜は鈍感で、味、温度、痛みなどを殆ど感じません。それ故に何らかの違和感を抱いた時には、実は既に悪くなっているという事があります。例えば元々辛い食べ物、温度の高い食べ物、アルコールなどに強く、それを日常的に食す習慣がある人では、自分では平気だと思っていても、実際には舌の上、口の中、食道へダメージが蓄積されているという事が結構あります。




●胃

胃は食道から運ばれてきた食べ物を消化・分解、続く十二指腸へ送る役割を持つ臓器です。胃の大きさは個人差がかなり大きいですが、何も食べ物が入っていない時には拳程度の大きさしかなく、満腹状態では1リットル以上の容量を有します。胃の入口と出口はやや狭くなっていますが、そのように胃はゴムのように伸び縮みする事ができるので、一度に大量の食べ物が入ってきてもそれを一時的に蓄えた上でまとめて消化する事ができます。

胃の中にある食べ物を消化するための消化液は塩酸を含む強力な「胃液」で、副交感神経から分泌されるアセチルコリンやアレルギー・炎症反応に関与するヒスタミンなどの刺激によって分泌されます。特に胃液は蛋白質を分解し、吸収しやすい形にする事ができます。ただしあまりに強力で、そのまま分泌すると胃の壁にある蛋白質をも溶かしてします。しかし胃の壁は何層も重なっており、特に表面の粘膜は粘液で覆われています。また実は酸性になり過ぎないよう、重曹も作られており、これらによって胃は守られています。そのバランスが崩れると胃の壁が溶かされ、胃潰瘍などになります。

この事から、例えば胃の壁の厚さ、粘膜の強さ、粘液の量、胃液の強さ、胃液の量などは、子どもが成長して体を大きく際、あるいはスポーツ選手が体を大きくしていく際に非常に重要な条件だと言えると思います。これは生まれつきの要素ももちろん関係してきますが、生活習慣の積み重ねによる影響も大きく、胃腸を健全に育てるような食習慣、運動習慣、睡眠習慣、ストレスコントロールが必要です。


●十二指腸・小腸

十二指腸は胃と小腸及び大腸を繋ぐ臓器で、胃では消化・分解し切れなかった食べ物を更に消化・分解する役割を持っています。十二指腸は栄養素の吸収に特化しており、膵臓から分泌された膵液や肝臓で作られた胆汁などを使って分解し、腸の表面にある絨毛から様々な栄養素を吸収します。また十二指腸では酸性化したものを中和するための粘液も分泌しており、これによって十二指腸の表面を守っています。

十二指腸はその後「空腸」そして「回腸」へと続き、これらを合わせて「小腸」と呼びます。空腸の前部では前述のように十二指腸と同じ活動が見られますが、空腸から回腸と進んでいくとそれが少しずつ沈静化していき、回腸の最後では殆ど見られなくなります。しかし空腸と回腸にはリンパ組織が密集していて、リンパ球などの免疫細胞を作っています。更に腸には異物を「異物」と判断して吸収させず、また仮に吸収しても再び腸内へ排出する機能もあり、このように小腸は免疫機能において非常に重要な役割を持っています。

尚、妊娠中では分泌される女性ホルモンの一種「プロゲステロン」の影響で、腸内の蠕動活動が抑制されます。また胎児が大きくなってくると腸が圧迫され、その活動が制限されます。これにより腸内を通る消化物をゆっくり通過させる事ができるので、様々な栄養素の吸収率が高まるようになります。逆に言うと服用している薬の効果や、普段何気なく口にしている食べ物による影響が出やすくなるという事であり、人によっては副作用が強く出るようになる事もあるので注意が必要です。


●大腸

大腸は回腸の先に繋がっている臓器で、主に便を作る役割を持っています。大腸は上行結腸→横行結腸→下行結腸と続き、最後に直腸から肛門へ繋がっています。上行結腸は上方向に行かなければならないため、蠕動活動によって上へと運びますが、回腸と繋がる最初の部分に弁があり、万が一大腸内の便が小腸へ逆流しないようにしています。この弁がある場所は「盲腸」と呼ばれており、盲腸から下へ細く伸びた「虫垂」はリンパ組織として免疫機能に関与していると考えられています。ただし人間では退化していて他で代用できる他、炎症を起こしやすい場所でもあるので取っても健康上何の問題ありません。

大腸は前述のように便を作る役割を持っています。水分を吸収する機能があり、大腸内の様々な細菌が食物繊維を発酵・分解する事でそれが便の元になります。このため大腸内に来た時点での水分量や食物繊維の多さ、大腸内にある細菌の量やその活動、大腸による水分の吸収率の高さ等が便の硬さに大きな影響を与えます。ちなみに便秘の際や激しいウイルス性の風邪ではいわゆる「浣腸」をする事があります。浣腸がどうして効果があるのかというと、これは大腸の水分を吸収する機能を利用して水分と一緒に薬剤を吸収させたり、あるいは敢えて吸収させず腸内だけに作用するようにしているからです。




人体に存在する組織(用語)について適当に

●血管と血液

血管は心臓から出た血液が勢い良く流れる動脈と、心臓へと戻る血液が流れる静脈があり、どちらも内側から内膜(内皮)、中膜(平滑筋)、外膜の三層構造になっています。特に動脈では自律的に収縮して血液を送るための中膜が発達しており、内膜と中膜及び中膜と外膜の間には弾性組織があります。つまり血管も心臓の脈動に合わせて収縮を繰り返しているのです。また太い血管では大量の血液が流れて大きな圧力がかかるため、それぞれの膜が分厚くなっており、中膜と外膜の間には栄養を補給するための栄養血管があります。尚、末端を繋ぐ毛細血管は内皮のみで構成されています。

血管に関連するサプリメントとしてはアルギニンとシトルリンがよく知られています。アルギニンは尿素回路においてアンモニアを解毒する際に使われるアミノ酸ですが、この解毒の際には一部のアルギニンからシトルリンと一酸化窒素(「NO」と呼ばれている)が作られます。この一酸化窒素には血管を拡張する作用があり、これにより血管を広げて流れる血液の量を増やし、末梢の血流を改善する事ができます。一方、シトルリンも尿素回路に関係するアミノ酸で、体内では一部のアルギニンはこのシトルリンから作られます。その際にも一酸化窒素は作られます。また同じく尿素回路に関係するアミノ酸のオルニチンも、その一部がアルギニンを作る際に使われます。そのためアルギニンを摂取する際にはシトルリンやオルニチンも一緒に摂取した方が効果的です。ちなみに一酸化窒素には抗酸化作用もあると言われていますが、免疫に関与するマクロファージが病原体を捕食する際にも作られ、増え過ぎると逆に低血圧の原因になるとも言われています。

一方、血液はその血管内を流れる液体の事で、全身の細胞へ酸素、栄養、水分、ホルモン、体温等を運び、逆に老廃物や二酸化炭素等を、それを処理・排出するための臓器・組織へと運ぶ役割があります。また血液は血球と血小板、そしてそれらを流動させる血漿成分から構成されています。その内、血球は赤血球と白血球から、血漿は血球のような細胞成分が含まれない液体の事、すなわち血漿には水分やその他の蛋白質(アルブミンやグロブリン等)・アミノ酸・糖・脂肪・無機質などが含まれています。

ちなみに母乳も血液から作られますが、母乳には白血球は含まれているものの、赤血球は含まれていないため赤くなく、含まれる蛋白質や脂肪の粒子が光を乱反射する事で白く見えます。これは例えば牛乳が白く見える事や、氷は透明に見えるのに削ると白く見えるのと同じ原理です。また涙も血液から作られますが、こちらは血球が含まれておらず、ほぼ血液中の水分だけなので透明に見えます。その他「血清」は血液から分離された細胞成分(血餅)以外の成分(血漿には含まれる血液凝固因子が含まれない)の事であり、血清と血漿は異なるものです。


・赤血球
赤血球は酸素や二酸化炭素を運ぶ役割のある細胞で「ヘモグロビン」が主成分となっています。このヘモグロビンは鉄分とグロビンという蛋白質が結合したもので、酸素の多い環境では酸素と強く結びつく性質があります。また酸素の少ない環境かつ二酸化炭素の多い環境では酸素を遊離して二酸化炭素と結合する性質もあり、これによって酸素や二酸化炭素を循環させています。尚、繰り返しになりますが、一酸化炭素は酸素よりも強くヘモグロビンと結合するため、これが酸素の吸収を阻害し、酸欠の原因になります。

赤血球は新陳代謝が活発で、常に骨髄から新しい赤血球が供給されます。この赤血球を作るにはその材料となる蛋白質及びアミノ酸と、ビタミンB12、葉酸、鉄分、銅、ビタミンC(植物性の非ヘム鉄を吸収しやすい形にする)などが必要です。「貧血は鉄分を摂取する」という事はよく知られていますが、すなわち鉄分を摂取するだけでは赤血球を作る事はできず、貧血を改善できない事があります。もちろん食習慣だけでも貧血は改善できません。そもそも酸素が必要な状態でなければ赤血球の生産は活性化されませんから、運動も必要ですし、赤血球を作る活動は自分の意志ではコントロールできませんから、それを管理する自律神経が働くような睡眠習慣も必要でしょう。

ちなみにより多くの酸素を必要とする筋肉の細胞においては、より強く酸素と結合して多くの酸素を貯蔵する事ができる「ミオグロビン」が酸素を運搬する役割を担っています。実は食肉が赤いのもこのミオグロビンによるもので、色鮮やかな赤身肉が「筋肉に良い」と言われる所以になっています。一方、魚の方では赤身魚は酸素を多く必要とするため有酸素能力が高く、白身魚は酸素を必要とせず瞬発的な能力が高いため、白身魚の方が筋肉を大きくするための材料として適していると言われています。

・白血球
白血球には顆粒球(好中球、好酸球、好塩基球)、単球、リンパ球の5種類があり、好中球が全体の5~7割を、顆粒球で言えば全体の9割以上を占めています。いずれも特定の分子に結合・捕食し、それを無効化する機能があり、免疫機能において非常に重要な役割を持っています。

例えば好中球は特に細菌を捕食して殺菌を行い、感染症を防ぐ、または重症化を抑える働きがあると言われています。続く好酸球と好塩基球はアレルギー反応に関与し、好酸球がヒスタミンを不活性にして反応を抑える一方、好塩基球はヒスタミンを活性化させ反応を促進させる(アナフィラキシー・蕁麻疹・気管支喘息等の原因とされる)と言われています。また単球はマクロファージと呼ばれる細胞へと分化し、異物や不要となった老廃物を捕食して消化する機能があります。最後にリンパ球ですが、これは特定の物質に対する抗体を作り、その物質が入ってきた時に集結・攻撃を行う機能があります。

・血小板
血小板は血管に損傷ができた時に活性化し、その損傷箇所へ集まって固まる性質があります。これにより血管を塞ぎ、外部への出血を防いで「血栓」を形成します。その血栓は血液中の成分(血液の凝固に関与する蛋白質:フィブリン)を固める事で、その周囲にある血小板や赤血球などを更に一緒に固め、血栓をより強固なものにします。それが体の外部に形成されたのがいわゆる「カサブタ」と呼ばれるものです。また血管は流れが速いほどその内壁を常に健康な状態に保つ必要があります。前述のように血小板は血を固める作用がありますが、血管の修復に必要な物質を供給するために常に働いています。

・リンパとは?
リンパ球が多く含まれるリンパ液(血漿成分が主)が流れる場所の事を「リンパ系」と呼びます。リンパ系は様々な組織から流れてきたリンパ液を回収して静脈へ戻したり、あるいはリンパ液が必要な場所へ集合させる役割があります。これによりリンパ液を循環させているのです。

またリンパ系は首の付け根~脇の下~鼠径部~胸の奥中央と繋がっており、所々に「リンパ節」があります。リンパ節はリンパ洞とリンパ小節からなり、リンパ小節においてリンパ球を増やす事ができます。リンパ節は0.2~3cm程度の大きさで豆のような形をしていて、全身に600個程度あると言われており、リンパ節がある場所ではいくつかのリンパ節が集合しています。尚、リンパ系はリンパ節以外のリンパ組織も含まれ、例えば扁桃腺、脾臓、骨髄、心臓の前にある胸腺、虫垂なんかもリンパ系に含まれます。

リンパ節が集合している場所を挙げると、例えば耳の後ろや下付近、後頭部の頭の付け根付近、顎の付け根付近、左鎖骨の上部、脇の下、股関節の付け根付近などが挙げられます。腸や気管支など、この他にも多くの場所に存在しています。体の表面から触れる事ができる場所では、例えば風邪を引いた時にはその部分が凝り固まる事があります。


●骨の構造

骨は人間の骨格を形成するために必要な硬い組織の事で、これがある事で内臓などの柔らかい組織を保護し、姿勢を安定化させる事ができます。また骨はそれを筋肉が引っ張る事で体を動かす事ができて、運動を行う際の重要な支柱になる他、骨と骨の境には運動時にスムーズに骨を動かすための関節が形成されています。大人では全身に約206個の骨があると言われており、それぞれの骨に全て名前がついています。

骨は骨質とそれを覆う骨膜から成っており、骨質は外側の緻密骨(皮質骨)と内側の海綿骨から成っています。緻密骨は層のようになっていて、ここにミネラルが沈着する事で骨の強度を高めています。一方、海綿骨には繊維質のコラーゲンが張り巡らされていて空洞がたくさんあり、この隙間によって骨に弾性を持たせる事ができる他、特に中心部には血液を作り出す骨髄があります。骨の主成分はやはりミネラルの一種であるカルシウムですが、カルシウムはそのままの形では存在せず、実際に骨へ使われているのは同じくミネラルであるリンとカルシウムが結合したリン酸カルシウムです。その他のミネラルではマグネシウムが多く含まれている他、微量としてケイ素やマンガンなども使われています。もちろんカルシウムの吸収を促すビタミンDやビタミンKも必要です。

骨の両端に関節がある場合、その表面には通常の骨よりも柔らかく弾力性に富んだ軟骨が存在します。よく言われるのが「軟骨は自然には再生しない」という事ですが、時間はかかっても栄養を補給する事さえできれば再生可能と言われています。軟骨自体には血液やリンパが通っていませんが、関節内の空洞には滑液と呼ばれる液体で満たされており、この滑液が関節を覆う「滑膜」から分泌される事で軟骨へ栄養を補給しています。この滑液は加齢によって粘度や分泌量が減るため、だからこそ年令を重ねると軟骨がすり減るのですが、滑液を分泌する滑膜へは血液を通して栄養が送られます。すなわち軟骨の健康を保つには関節周囲にある毛細血管の数を増やし、その血管への血流を増やし、摂取する栄養を改善する事が重要と言えると思います。それには食事だけではなく適切な運動や睡眠が必要です。尚、軟骨にはヒアルロン酸、コンドロイチン、グルコサミン、コラーゲン等が存在しますが、それらを口から摂取しても多くが分散してしまい、軟骨だけに届けるのは困難です。それよりも「体のシステムを正常化する」事を考えましょう。

ちなみに骨折では当然痛みを感じますが、治療の際に骨へプレートやボルトを埋め込んで固定しても痛みを感じません。これは何故かというと、実は骨質には痛みを伝える神経が存在しないからです。しかし骨質を覆う骨膜やその周囲には神経が密集しているので、そこを損傷する事では大きな痛みを伴います。




●筋肉・腱・靭帯

・筋肉とは?腱とは?
腕や足などに存在する筋肉は「横紋筋」と呼ばれており、自分の意志で収縮させる事ができます。一方、内臓や血管を動かすための筋肉は「平滑筋」と呼ばれ、自分の意志では動かす事ができず、自律的に収縮します。例外として心臓の筋肉(心筋)は横紋筋ですが、自分の意志では動かす事ができず、自律的に動く事ができる機能を持っています。

腕や足などに存在する筋肉ではその両端に「腱」と呼ばれる硬い組織があり、それが骨と繋がっています。つまり筋肉が収縮すると、それに繋がっている腱が骨を引っ張り、骨及び関節を動かします。例えば膝の関節では太ももの表側にある大腿四頭筋(大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋)という筋肉が、膝のお皿(膝蓋骨)及びお皿の下側にある膝蓋腱(膝蓋靭帯)を通し、その下にあるスネの骨(前脛骨筋)を引っ張る事で、膝から下の骨が動き、膝を伸ばす事ができます。


・筋肉の構造
筋肉の最小単位は細胞(蛋白質)である「ミオシン」と「アクチン」です。このミオシンとアクチンがそれぞれ「フィラメント」を構成しており、アクチンフィラメントがミオシンフィラメントの間に入り込む事で筋肉全体を収縮させる事ができます。またそのフィラメントは「Z膜」という膜で区切られており、その一つ一つの区切りを「筋節(サルコメア)」と呼びます。その筋節が縦に並んでいるのが「筋原線維」、その筋原線維が束になったのが「筋線維(筋細胞)」、更にその筋線維が束になる事で「筋線維束(筋束)」、そしてそれが束になって「筋肉」を形作っています。

尚、個々の筋線維は筋鞘に、筋鞘の外側すなわち筋細胞全体は筋内膜に、それが束になった筋線維束は筋周膜に、それが束になった筋肉は筋外膜という薄い膜に覆われています。更にその外側には深筋膜と浅筋膜があり、この浅筋膜が皮膚組織(皮膚も何層もの層になっている)の下に位置しています。最近では「筋膜リリース」という言葉がありますが、おそらくこれらの膜(特に筋肉の外側?)の事を指しているのでしょう。

その内の「筋線維」には大きく2つの種類があると言われています。それが「速筋線維(速筋)」と「遅筋線維(遅筋)」です。「速筋」は瞬間的に大きな力を発揮する事ができる細胞で、糖をエネルギーとする「無酸素運動」において主に使われます。特にこの速筋は鍛えれば鍛えるほど太くする事ができ、太くなればなるほどその筋力も大きくなります。しかしその反面持久力がなく、エネルギーがすぐに切れてしまうため、その大きな筋力は長続きしません。一方、「遅筋」は持久的に力を発揮し続ける事のできる筋肉であり、脂肪をエネルギーとする「有酸素運動」において主に使われます。遅筋は速筋のように鍛えてもそこまで太くはならず、瞬間的に大きな力を発揮する事もできませんが、使い込む事によってその持久力及びエネルギー効率を高め、運動を行う時間を伸ばす事ができます。

尚、実際には両方の要素が混ざり合った「中間筋」もあるとされており、速筋と遅筋でそこまで厳密に役割分担をしている訳ではありません。また速筋と遅筋の割合は生まれつき決まっているとされ、トレーニングによって変える事はできない(横紋筋は細胞分裂する事ができず、蛋白質が肥大化する事で太くなる。つまり肉離れは治っても筋肉には傷が残る。ちなみに平滑筋は細胞分裂能力が高い。)と言われています。これは「生まれながらにしてスポーツへの向き不向きがある」という事になる訳ですが、それは速筋と遅筋の割合が影響するほどにまで自分を追い込んだり、その結果として高いレベルで他者と競争する場合の話で、我々一般人が気にするようなものではありません。分かりやすく言うと、我々日本人は平均的に遅筋の割合が高い人の方が多いのですが、そんな日本人でも100m9秒台を出す事ができるのですから例外はあるはずです。しかしその例外はそこまで突き詰めないと誰にも分からないですよね?つまりそういう事です。

・筋肉を動かすための神経
筋肉を動かすための神経は脳→脊髄→筋肉へと繋がり、筋線維内にある筋原線維一つ一つに細かく枝分かれしています。神経の末端からは「アセチルコリン」という神経伝達物質が分泌され、それを筋鞘にある受容器で受け取ります。そしてアセチルコリンの濃度が高まると、それがスイッチとなって筋原線維を覆う「筋小胞体」と呼ばれる袋状の膜からカルシウムイオンが放出されます。アクチンフィラメントの周囲にはアクチンとミオシンの結合を管理するトロポニンやトロポミオシンと呼ばれる蛋白質があり、ここにカルシウムイオンが結合する事でトロポニンやトロポミオシンの構造が変化し、抑制がなくなってアクチンとミオシンが近づきます。これによって筋節(サルコメア)が縮み、それに伴って筋肉全体が収縮します。

一方、収縮が終わると逆にカルシウムイオンは放出され、筋肉は弛緩します。筋肉や腱が伸ばされると、線維に並んでいる筋紡錘や腱紡錘と呼ばれる受容器が刺激され、筋肉が伸ばされた事を自動検知し、感覚神経へと伝えます。これにより「筋肉が伸ばされ過ぎないように管理(つまり筋肉や腱を勢い良く伸ばすと意識を伴わず反射的に収縮する)」する事ができます。ちなみにカルシウムが放出される際にはマグネシウムが必要になる他、収縮や弛緩の調節にカリウムやナトリウムも必要になります。いわゆる「攣る」のはこういったミネラル不足が原因の一つとして考えられます。

しかしながら意外に思うかもしれませんが、筋肉そのものには「痛覚」を伝える神経はありません。つまり筋肉自体が損傷しても痛みを感じないのです。ただ、筋肉を覆う筋膜やその周囲、あるいは骨を覆う骨膜には痛覚を伝える神経があるので、そこに刺激が与えられると痛みを感じる事になります。例えば「肉離れ」のような怪我では、筋肉だけでなく筋膜やその周囲にある様々な組織が一緒に裂けて傷ついているので痛みを感じますし、骨を引っ張る際に腱と骨との結合部分が傷ついたり、筋肉や腱が骨が擦れればどちらかに痛みが出る事はあります。尚、筋肉は血管が多いため、損傷が激しいと内出血を引き起こします。血管が多いという事は血液が送られる量も多いので、その分、神経や靭帯よりは治りやすいと言えます。

では、筋肉痛は何故痛みを伴うのかというと、筋肉痛による痛みはトレーニング時に作られた様々な物質がその場所に蓄積し、それが筋膜やその周囲もある神経を刺激する事で起こると言われています。筋肉痛と聞くと筋肉に損傷が起こり、それによって炎症を伴っているから痛いのでは?と思ってしまいますが、通常のトレーニングではそこまで大きな損傷及び炎症は起こらないとされています。またトレーニング以前を上回るようにして筋肉が大きくなるのもストレスに対する防衛反応です。効率良く筋肉を大きくするには大きなストレス(負荷)をかける必要があるため、そのようなトレーニングでは筋肉痛になりやすいですが、例え筋肉痛にならなくとも筋肉は大きくしていく事ができます。必ずしも筋肉痛=筋肉の成長ではないのです。

・腱の構造
例えば上腕の骨(肘~肩まで)の両端には前腕の骨(手首~肘まで)と肩の骨があり、それぞれの節に肘の関節と肩の関節があります。このように骨の両端に別の骨があってそこに関節がある場合、筋肉はその両端が結合組織(筋内膜がコラーゲンに移行し、骨との結合部分では腱が骨質に入り込んでいる)となって骨に結合しており、その組織の事を「腱」と呼びます。つまり上腕の筋肉(上腕二頭筋)では前腕の骨へ繋がる部分が腱組織となり、肩の骨へ繋がる部分が腱組織となっており、上腕の筋肉が収縮すれば、それが腱を通じて前腕の骨を引っ張る事で肘が曲がります。

また腱は主にコラーゲンでできており、硬いバネのような弾力性があります。自分の意志で伸び縮みさせる事はできませんが、この弾力性により、筋肉が勢い良く収縮して骨を引っ張った際に腱が少しだけ伸び、その伸ばされた時の勢いで少しだけ縮んで、筋肉の力を効率良く骨へ伝えています。尚、筋肉や腱には「勢い良く伸ばされた時に反射的に縮もうとする」機能があります。これは筋肉や腱が壊れてしまわないようにする意味があるのですが、その勢いを利用する事で意識的な筋肉の収縮は最低限で済み、無駄な力を使わず効率良く関節を動かす事ができるようになります。スポーツ選手は筋肉を鍛えて筋力を高める事ももちろん重要なのですが、この特性を上手く利用するための筋と腱の連動性や腱の機能向上を高めるようなトレーニングも必要です。

・靭帯とは
靭帯は骨の位置を安定化させる役割を持つ組織の事で、骨と骨を繋いで関節を形作っています。筋肉とは違って自分の意志で伸び縮みさせる事はできませんが、腱よりも更に硬く強靭な結合組織(コラーゲン)からできており、関節の可動域をコントロールし、過度に曲げたり伸ばしたりする事を防いでいます。

しかし硬いが故に、靭帯は伸ばされるストレスが蓄積する事によって少しずつ伸ばされていき、伸びた状態が長期間続くと元に戻らなくなります。例えば長時間正座をする生活習慣を何年も続けていた場合、年月が経つほど膝の靭帯は伸ばされ、太ももの骨やスネの骨の位置が不安定になり、膝の関節が緩く(骨と骨の間隔が狭いまたは広い)なっていきます。その状態で膝を動かすと、その度に骨や靭帯、腱が擦れ合って炎症を起こし、それが蓄積すれば骨も変形していく可能性があります。年齢を重ねた人ほど膝に違和感が出やすかったり、膝以外では肩の脱臼癖や足首の捻挫癖が治りにくいのもこのためです。予防が基本(毎日の適度な運動により靭帯周囲の血流を促し、栄養をできるだけ送るよう心がける)であり、違和感に耐えられないのであれば、できるだけ早い時期に治療してしまった方が良いかもしれません。

尚、靭帯には筋肉や腱とは違って殆ど血液が通っていません。そのため自然に治る事は殆どなく、断裂や重度の損傷では基本的に手術(移植や縫合)となります。部分的な軽度の断裂では病院によっては保存療法を行う事も多いのですが、筋肉や腱と比べると非常に治りづらい上、前述のように伸ばされた状態が長期間続くと別の怪我に繋がるリスクが高まるだけですので、お金や時間に余裕があり、将来を考えるのであれば手術をオススメします。また靭帯には実は痛みを感じる神経もありません。捻挫した際の痛みはその周囲にある組織が損傷、及び炎症を起こす事によって起こる痛みなのです。よって例え炎症や痛みが治まったとしても、実際には靭帯が伸びたまま元に戻っていない、あるいは靭帯の損傷が治っていないなんて事が結構あり、その状態で運動をしたりする事でいわゆる「癖」に繋がります。単なる「靭帯が伸びた」程度の捻挫でも甘く見ず、自分の将来を考え、初期のアイシングや固定をしっかり行いましょう。




●神経

神経は脳から発せられた電気信号を伝えるための組織の事です。脳や首~腰(背骨)にかけては「中枢神経」があり、脳から送られた電気信号はまず背骨にある脊髄に行き、そこを中心として各所へ枝分かれしていきます。そうして各所に枝分かれした神経の事を「末梢神経」と言います。

神経の元となる神経細胞の事を「ニューロン」と呼びます。ニューロンは多数の突起(樹状突起)を持つ神経細胞体、その中心にある核、その細胞体から繋がる軸索、その先端にある軸索終末から構成されています。電気信号は樹状突起→細胞体→軸索の順で伝わり、最後に終末から次のニューロンへ伝わります。それを逆流させる事なく繰り返す事で指先まで電気信号を送る事ができるのです。また末梢神経はニューロンを覆う神経線維鞘、それを覆う神経内膜、それが束になり神経周膜で覆われた神経線維束、更に複数の神経線維束と血管、それらをまとめて覆う神経上膜から構成されています。

脳や脊髄にある中枢神経は一度損傷すると二度と元には戻りませんが、そこから枝分かれした末梢神経は仮に損傷しても修復する事ができます。ただしそれには「細胞体が完全に損傷していない」「損傷箇所が短い」という事が条件で、例え修復可能な末梢神経でも細胞体まで傷ついたり、損傷箇所が長い場合には自然に修復する事が非常に厳しくなります。これは神経細胞には細胞分裂を行う能力がないからです。そのため修復を行う際には非常に長い時間をかけ、細胞体から軸索が伸びていく形になります。

尚、ニューロンとニューロンの間は隙間が空いており、軸索の終末まで電気信号が来ると先端から神経伝達物質が分泌され、それを樹状突起にある受容器で受け取る形になっています。例えば筋肉を動かす際にはアセチルコリンが分泌されます。受容器はその刺激をきっかけにして外部のナトリウムイオンを取り込んで電位を変化(元々は外部がプラス・内部がマイナス→外部がマイナス、内部がプラスになる。ちなみに通常内部にはカリウムイオンがあり、このカリウムが内部にあるナトリウムを排出する)させ、電位を変化させていない部分との電位差を利用して電気信号を作り出し、それを後ろへ送ります。そうして前述のように逆流する事なくニューロン内を電気信号が通ります。

ちなみに右脳は左半身、左脳は右半身を管理していますが、これは運動の命令が通る延髄(脳の下側に位置し大脳皮質→脊髄と電気信号を送る)内にある「錐体(より細かな各部位の調節は錐体を通らない)」内において神経が交差しているからです。何故わざわざ交差する必要があるかについては様々な説がありますが、例えば仮に右脳が右半身を管理していた場合、もし右脳を損傷したら右半身が動かなくなります。右側を損傷しているという事は命の危険が右側から迫ってきている訳で、そのままではただただ死を待つのみです。しかし右脳が左半身を管理していれば、例え右脳が損傷しても左脳で右半身を動かす事ができ、右側から迫る危険に抗う事ができます。つまり偶然生まれた「右脳と左脳が管理する半身が逆」という遺伝子の方が生き残る可能性が高かったのだと思われます。


●皮膚の構造

皮膚は角質層・顆粒層・有棘層・基底層から成る表皮と、その下の乳頭層・乳頭下層・網状層から成る真皮、そしてその下の脂肪を含む皮下組織から構成されています。皮膚では主に表皮と真皮が接する基底層において新しい細胞が作られ、それが有棘層→顆粒層→角質層と順に上がってきます。最後の角質層はそうして作られた細胞が機能を停止し分厚くなったもので、一番表面にある古くなった細胞から自然と剥がれ落ちます。このサイクルの事を「ターンオーバー」と呼び、個人差は大きいですが、全ての細胞が新しくなるまでには最低でも1ヶ月程度かかると言われています。

皮膚に触れた際の感覚を伝える神経は有棘層まで伸びているので、角質層が分厚くなればなるほど皮膚に触れた際に得られる感覚は弱くなります。その他、毛細血管は真皮及びそのすぐ上にある表皮の基底層までしか到達していないため、出血を起こす場合には表皮だけでなく真皮やその下の組織が傷ついている事になります。尚、毛を作るために必要な毛母細胞もその真皮内にあり、毛を通すための穴が表皮に到達し、その途中に皮脂腺があるという形になっています。毛母細胞には血液を通して栄養が送られているので、無理に毛を抜くと出血を起こしたり、周囲の真皮が傷ついてしまう事があります。ニキビが傷跡として残りやすいのも毛穴の奥が真皮で、そこが傷ついてしまうからです。

表皮にある細胞は主にケラチノサイトという細胞で作られた、繊維状の蛋白質であるケラチンで構成されています。上層ではそれを脂質(セラミド、コレステロール、遊離脂肪酸等が絶妙な比率で)が取り囲むような形になっており、これが外から異物が入らないようにする防御の役割を果たしています。脂質つまり油は水に溶けませんが、水を取り囲む事で水分を保持する事ができます。角質は薄いですが何層にも重なっているため、皮膚の潤いやハリには脂質が非常に重要と言えます。また同じく表皮ではメラノサイトからメラニンが作られ、これが真皮及びその奥にある様々な細胞を紫外線から防御する機能を持っています。更に表皮ではエルゴステロールも作られており、これが紫外線に当たる事でビタミンDが作られます。その他、真皮にはよく聞くコラーゲンやそれを支えるエラスチン、そして水分を保持するヒアルロン酸が存在します。