2017年11月4日土曜日

「豆知識集41」いわゆる「放射能」に関する適当まとめ

この記事ではいわゆる「放射能」に関する疑問について私なりにまとめています。相変わらず長文ですが、ご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。尚、この記事に書かれている事は私個人の意見であり、他の方の考え方を否定するつもりはありません。第一に専門家ではないですし、色んな考え方があって良いと思うので押し付けもしません。同調したい方のみ同調して下されば幸いです。
(記事作成日時:2017/11/4)


当記事メニュー一覧

項目が多いためリスト化しています。クリックする事で直接その場所へ飛ぶ事ができます。また戻りたい場合には各項目の一番下にある「戻る」をクリックすればこの場所に戻ってくる事ができます。



●元素の構造

あらゆる元素は原子から構成されており、原子はその中心にある原子核と、その周りにあるいくつかの電子で構成されています。更にその原子核はいくつかの陽子と中性子で構成されています。原子核の中にある陽子の数は元素周期表にある原子番号で分かります。例えば「ウラン238」は原子番号92なので陽子の数は92。この238というのは陽子と中性子を合わせた数の事なので、ウラン238では146が中性子の数となります。よく見る「鉄56」は原子番号26なので、陽子の数が26、中性子の数は30です。

ウランは放射性物質としてよく知られており、不安定な状態にあります。一方我々にとって身近な鉄は安定しています。この「安定」「不安定」というのは原子核が安定しているか否かを意味しており、安定している鉄はそのままの放置しても原子核の構成が変化する事はありませんが、ウランのような不安定な原子核では放置すると自然に原子核の構成が変化します。これを「放射性崩壊」と言い、放射線を出して「より安定的な原子核」になろうとします。この放射線が人間に与える影響、及びその強さの事を一般的に「放射能」と呼んでいます。




●放射性崩壊の種類

その放射性崩壊にはアルファ崩壊、ベータ崩壊、ガンマ崩壊という3つの種類があります。この内アルファ崩壊ではα線(アルファ線)を出します。α線は陽子2つと中性子2つからなる「ヘリウム4」の原子の事であり、それを外部に出して別の原子核になろうとする訳です。ただしα線は粒子が大きいので透過力が弱く、紙や空気などで簡単に防ぐ事ができるので、直接手で触れない限り外部被曝の心配はありません。しかしこれが体の内部から出される場合には内部被曝(特にα線には安定した分子の電荷を操作してイオン化し、分子としての正常な機能を失わせる能力が強い)するリスクが高く、非常に危険です。

次にベータ崩壊はβ線(ベータ線)を出す崩壊の事です。この崩壊ではアルファ崩壊とは違い、原子核の中にある中性子が陽子へと変化し、原子核の周りにある電子(β線)が外に出されます。つまり陽子と中性子を合わせた数は変わりませんが、陽子の数は変わるので原子番号(元素)も変わります。α線ほどではありませんがβ線も透過力はあまり強くなく、アルミの板などで防ぐ事ができます。しかしβ線は何らかの遮蔽物で減速する際にX線(原子番号が大きいほど透過力が強くなる)が出るため、それを別に鉛の板などで防がなければ外部被曝のリスクがあります。またβ線自体も普段の服装程度では防ぐ事ができないので、至近距離に近づけば外部被曝のリスクがあります。もちろん体の内側からであれば内部被曝のリスクもあります。

最後のガンマ崩壊はγ線(ガンマ線)を出す崩壊です。ガンマ崩壊は陽子と中性子を合わせた数や原子番号は変わりませんが、アルファ崩壊やベータ崩壊だけではエネルギーを放出し切れない場合に、γ線という波長の短い電磁波を放出し、原子核をより安定化させようとします。このγ線は粒子ではなくエネルギーなのでα線β線と比べるとかなり透過力が強く、かなりの距離を取らないと外部被曝の危険があります。防ぐには非常に分厚いコンクリートや鉛の壁が必要であり、人体に当たると細胞内にあるDNAを傷つけると言われています。




●同位体と半減期

不安定な原子核を持つ原子はその原子核を安定化させるために放射性崩壊します。崩壊して別の原子核へ変化していく度に放射線は弱くなっていき、最終的には放射線を放出しない安定した原子核(実際には放射性物質から他の放射性物質になるという事をひたすら繰り返す)になる事になりますが、その崩壊の早さは原子核の構成によって大きく異なります。同じウランでも陽子や中性子の数が異なれば崩壊の早さも異なるという事です。その崩壊の早さの事を「半減期」と呼びます。

例えば「ウラン」という放射性物質にはウラン234、238、235などの種類があります。この数字は前述のように原子核を構成する陽子と中性子を合わせた数なので、234、238、235はそれぞれその違いを表しています。このようなウランの事を「ウランの同位体(原子番号は同じなので陽子の数は同じ、中性子の数が異なる)」と呼びます。またこれらのウランは同位体であっても半減期が異なり、ウラン238は45億年、ウラン235は7億年ほど、ウラン234は24万年ほどです。




●ベクレルとシーベルト

半減期が長いほど「安定している」と言えるため、出される放射線は弱くなります。逆に半減期は短いほど「不安定」と言えるため、短期間で激しく放射線が出されます。つまり半減期が短いほど放射線は強くなり、人体に与える影響は大きくなる訳です。この「放射性物質が1秒間に崩壊する原子の個数」を表す単位は「ベクレル(Bq)」という単位で表され、これこそが一般的に「放射能」と呼ばれるものです。こちらは1kg当たり何ベクレルという表現になります。

一方、放射線を浴びた時に実際に受ける影響の大きさの事は「シーベルト(Sv)」という単位で表します。よく「1時間あたり○○ミリシーベルト」という言い方をされ、例えば50ミリシーベルトを超えるとガンの発生率が上がるとか、2シーベルトを超えると5%の人が死に至るとか、そういう表現があります。ちなみにマイクロとミリでは1000倍の差(1000000マイクロシーベルト(μSv)=1000ミリシーベルト(mSv)=1シーベルト(Sv))があり、小さな単位を使う事で数字が大きく見えるので注意が必要です。意図的にそのような表現をする場合もあったりなかったり。




●我々にとって身近な放射線

放射線は細胞内にあるDNAを傷つける事で知られていますが、実は地球上に存在する全ての生物は放射線を浴びています。これは宇宙に無数に存在する星が放射線を出しており、それがあらゆる方向から地球に降り注いでいるからです。それでも我々が生き続ける事ができるのは、放射線を地球の周囲にある磁気や上空にあるオゾン層、そして分厚い大気や雲が弱めてくれているからです。また地球においては内部からも放射線が出されており、これも分厚い地面で守られています。

その他では我々の体にも放射線から体を守る機能が備わっており、例え放射線を浴びて細胞が傷ついても、その傷つくスピードよりも早く細胞を修復する事で元通りにしています。例えばラジウム温泉のように、むしろ意図的に弱い放射線を浴びる事による健康効果を狙う事すらあるため、必ずしも「放射線=悪」とは言えません。ただし修復が追いつかなくなるほど一度に大量の放射線を浴びると「被曝」し、体に様々な悪い症状が現れる事になります。

例えば我々人間は世界平均で年間「2.4ミリシーベルト」、1回のX線検査でおよそ「0.6ミリシーベルト」です。我々が日常生活で浴びるのはせいぜいその程度で、これだけでは人体には何の影響もありません。一方、原発作業員の人たちの基準は年間「50ミリシーベルト」とされており、そのように数十ミリシーベルト程度になると様々なリスクは高まり、徹底した管理は必要ですがまだ作業はできるレベルです。それが6~7シーベルト(6千~7千ミリシーベルト)前後になると、殆どの人が死亡すると言われています。ちなみに情報によると、広島に落とされたウラン型の原子爆弾(燃焼したウランは800g程度)は1発で100シーベルトほど(10万ミリシーベルト)あったとされ、そのレベルまで来ると放射線だけで体が朽ちていくレベルだそうです。

尚、日本に落とされた原爆では、放射線の他に3000度以上(~6000度?)の高温と、風速450m/s以上(時速1500km以上)の爆風があったとされており、爆発場所から近い距離では放射線の長期的な影響よりも先に、熱による炭化と猛烈な風によって跡形もなく吹き飛ばされてしまったと言われています。また放射線は「他の安定した元素を放射性物質化させる」ため、放出される放射線の強さに関係なく、周囲にあるあらゆる元素が放射性物質へと変化します。その場所で何年も生物が住めなくなると言われるのはこのためです。広島や長崎に落とされた原爆は比較的上空で爆発した(それにより多くの放射性物質も蒸発)ため、復興を早く行う事ができたのです。もしこれが地面の近くで爆発していたら、町全体が放射性物質で汚染され、今も人が住めなくなっていたでしょう。




●放射性物質「ヨウ素・セシウム・ストロンチウム」

体の外側にある放射性物質から放射線を浴びる事を「外部被曝」、体の内部に放射性物質が蓄積し、体の内側から放射線を浴びる事を「内部被曝」と言います。

ここでは東日本大震災に伴う原発事故に関する報道で耳にする事がある「ヨウ素131」「セシウム134」「セシウム137」「ストロンチウム90」を例に説明します。これらの半減期はヨウ素131が8日、セシウム134が2年、セシウム137が30年、ストロンチウム90が29年です。この中ではヨウ素131の半減期が「8日」なので最も不安定と言え、短期間の内に激しく崩壊します。しかしウラン238の半減期である45億年と比べればどれも不安定と言え、いずれも短期間の内に強力な放射線を出します。尚、いずれもγ線を出す崩壊はしないので、主に考えなければならないリスクは内部被曝です。

この内、ヨウ素とセシウムは共に沸点が低く、気化しやすいので、容易に風や雲あるいは雨によって運ばれます。つまり鼻や口から吸い込み、それが体内に蓄積されると内部被曝するリスクがあります。外部被曝に関しては前述のようにγ線を出す事はないため、至近距離に近づかなければリスクは低いですが、いわゆる「ホットスポット」と呼ばれる場所ではこれが溜まっているので、念のため近づかない方が良いでしょう。更にセシウムは放射性物質であるなしに関わらず、元々水に溶けやすいため、食物連鎖の過程でセシウムを含んだ水を吸った植物、その水を飲んだ魚、その魚を食べた動物というように順に蓄積していきます。それを人間が口にすれば内部被曝のリスクが高まります。

一方、ヨウ素は天然では海藻類などに含まれており、それを口にする人間では普段から甲状腺に蓄えています。天然に存在するヨウ素(ヨウ素127)は安定していて放射線を出しませんが、放射性物質である「ヨウ素131」の方が入ってくると、天然の安定したヨウ素と間違えて取り込んでしまいます。そうして甲状腺にヨウ素131が蓄積すると甲状腺内で強力な放射線を出すため、内部被曝するリスクが高まります。よく言われる甲状腺癌はこうして起こる事があります。

そしてストロンチウム90ですが、これはカルシウムと似ている性質があります。つまり体内に入ると骨に沈着し、そこで大量の放射線を出す事になります。その結果やはり内部被曝し、血液や骨の病気になるリスクが高まると言われています。放射性ヨウ素による内部被曝とそれによる甲状腺癌ばかり注目されますが、この放射性ストロンチウムによる内部被曝も注意しておかなければなりません。

最後に、これら4つの放射性物質において共通する注意すべき点は「人間がよく利用するありふれた栄養素と性質が似ている場合がある事」「食物連鎖の過程で濃縮される場合がある事」「またそれを口にし体内で蓄積する事で起こる内部被曝する場合がある事」「γ崩壊しないため外部被曝のリスクは高くないとは言え、短期間に強力な放射線を出すので至近距離には近づかない事」などが挙げられます。




●放射性物質「ウラン・プルトニウム」

天然に存在するウランはウラン238で9割以上を占めており、ウラン235は1割以下と非常に少ないです。しかしウラン235には核分裂を起こしやすい(陽子と中性子を合わせた数が多く、中性子と陽子の数が偶数奇数という場合)性質があるため、主にエネルギーとして利用するのはこちらになります。ただしそのように量が少ないので濃縮して利用します。実は日本に存在する原子力発電所でも濃縮してから利用しており、これを「濃縮ウラン」と呼んでいます。もちろん濃縮すると言っても濃縮し過ぎると核分裂を制御できなくなるので、原子力発電所ではせいぜい3%程度にしか濃縮しません。

一方、原子爆弾では90%以上にまで濃縮させます。ウラン235のように不安定で重い原子核は何かのきっかけで分裂し、それぞれがそれよりも質量の小さな原子核になろうとします。これを「核分裂」と言います。ウラン235では中性子を浴びる事で核分裂し、それぞれ例えばバリウム141やクリプトン92などといったウラン235よりも軽い別の原子核になるのです。尚、分裂した際にも中性子が出される事があり、その中性子が更に分裂した後のウランより軽い原子核にも衝突します。こうして一瞬の間に次から次へと核分裂が起こり、大きなエネルギーを出します。これが原子爆弾の原理です。

この連鎖的な核分裂反応の過程では、上記のバリウムやクリプトンなどのように様々な種類の放射性物質が作られます。実際に日本へ落とされた原子爆弾でも100種類以上もの放射性物質が作られたと言われています。前述した放射性物質のヨウ素、セシウム、ストロンチウムも元々は原子力発電に伴う核分裂反応によって作られたものです。ただし分裂は永遠に続く訳ではなく、原子核が中性子を吸収しても分裂しない場合があります。例えばセシウムやヨウ素は中性子を浴びても核分裂しません。この事から中性子を吸収し反応を制御する「制御棒」として使われる事もあります。

続いて、天然に大量に存在するウラン238に中性子を当てて作られるのが「プルトニウム239」です。プルトニウムは自然界に殆ど存在せず、人工的に作られる放射性物質です。このプルトニウム239もウラン235と同じように核分裂しやすいという特徴があるため、原子力発電や原子爆弾(ウラン235が広島に落とされた原子爆弾、プルトニウム239が長崎に落とされた原子爆弾)として利用されています。

このプルトニウムでよく言われるのが「プルトニウムは特に毒性が高く危険だ」という事です。しかし実際の科学的な毒性は他の重金属と比べてもあまり変わりません。重金属とは鉄以上の比重が重い金属(鉄も含まれる)の事で、例えば鉄、カドミウム、クロム、水銀、ヒ素、マンガン、鉛などが挙げられ、ウランやプルトニウムもこれに含まれます。特に有名なのは水銀(水俣病)、カドミウム(イタイイタイ病)、ヒ素(事件等で)ですね。確かにプルトニウムにも毒性はありますが、毒性よりも「核分裂しやすく兵器として使われる」事による影響の方が大きいのです。

ウランやプルトニウムは非常に重いため、すぐ地面に落ち、土と共に粉塵状になる事があり得ます。それを大量に吸引すれば肺に留まり、内部被曝のリスクがあります。しかしウランやプルトニウムが人工的に自然界へ放出される頃には、既に多くが「核分裂で違う放射性物質に分裂した後」のはずですから、セシウムやヨウ素などと比べると圧倒的に量が少ないです。つまり大量のウランやプルトニウムが一箇所に集中している状況というのがまず現実的ではありません。また人間の体にはウランやプルトニウムを吸収し、それを利用するシステムがないので例え飲み込んだとしても殆ど吸収されず、すぐに排出されてしまいます。毒物・劇物には違いないですが、よく言われる「角砂糖5個分で云々」とかも迷信に過ぎないのです。




●以上の事から注意すべき事

以上を踏まえると、ウランやプルトニウムなどよりも、身近な栄養素と性質が似ていて吸収されやすい放射性セシウム、放射性ヨウ素、放射性ストロンチウムなどの方がよっぽど内部被曝のリスクがあると言えます。もちろん放射性物質はどれも人体にとって有害なのは間違いないので、外部被曝を避けるために「近くへ寄らない」事ができるのならそれが一番良いに決まっていますが、避けるにしても限界がありますし、前述してきたように放射性物質によって「避け方」が異なるという事は十分に認識しておく必要があると思います。我々日本人は原爆の経験もあって、見えないものを怖がる気持ちはよく分かるのですが、実際には大した危険がないにも関わらず過度に避けようとすれば、その人の時間やお金を奪いかねないものです。特に子どもにとっての「時間」は有限であり、「避ける」という事に時間を奪われ過ぎてはそれこそ子どものためになりません。当ブログも言えた事ではないですが、外部から一方的にもたらされる情報をそのまま受け取るのではなく、何が正しくて何が間違っているかは自分の意志で判断するようにしましょう。