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2017年6月4日日曜日

どうして高い声や大きい声を出すと声が裏返えるの?

肺から放出される息を喉にある声帯に当てると、その声帯が振動する事で音が出ます。その音が様々な場所(鼻や口等の空間の他、骨、皮膚、筋肉、脂肪等にも伝わる)に伝わる事で声は発せられます。よってその振動の幅が大きくなり、共鳴が適切に行われるほど発せられる声は大きくなります。また声帯は薄い膜のようになっており、ピンと張った状態においては、振動が速くなると高い音が、振動が遅くなると低い音が出ます。例えばピンと張った状態の輪ゴムを弾いた時、その輪ゴムが短いと高い音が、長いと低い音が出ますが、これと同じ原理です。人間の喉では声帯を引っ張る事で振動の幅が小さくなり、それによって振動のスピードも速くなるため、高い声を出す事ができるのです。

高い声を出すにはそのように声帯を引っ張る必要があり、そのための筋肉を収縮させなければなりません。「歌をうたう時には喉仏が上へ上がらないようにする」とよく言われますが、これはその声帯を引っ張るための筋肉(輪状甲状筋)が喉仏についているからです。つまり喉仏が上へ上がった状態では声帯を引っ張るための筋肉が緩み、「低い声を出す時の声帯の形」のまま高い声を出そうとしてしまいます。当然そのような状態の声帯にいくら息を当てても、高い声を出す事はできません。結果「力み」にも繋がります。

一方、声帯を閉じた状態に維持するのは、声帯を引っ張るための筋肉とはまた別の筋肉(閉鎖筋)が関係しています。この声帯を閉じる筋肉が正常に機能していれば、息の量が増えても声帯が閉じたまま維持されるので、息の通過量が多くなる「裏返り」を防ぐ事ができます。しかし普段話すような声ではそこまで声帯を閉じて緊張させる事がないため、声帯を閉じるための筋肉が衰えている事があります。そのような人がいざ歌をうたう事になった時、大きな声を出そうと声帯に大量の息を当てると、声帯の閉鎖を維持できず、声帯から漏れる息の量が増え、これによって声が裏返ります。

またそのように声帯の閉鎖及びそれを維持するための筋肉が衰えている人では、喉の周囲にある筋肉を使って声帯を閉じ、それを力で無理やり維持しようとします。これが前述した喉仏が上へ上がる理由で、高い声を出そうとするとそれが起こりやすくなり、声帯が不必要に緊張して振動しづらい状態になります。つまり音が響かない、いわゆる「喉声」になる訳です。そのような状態では1曲通して歌う事ができないほど喉が簡単に疲れてしまいます。