2017年6月4日日曜日

「豆知識集17」果物類に関するQ&Aその2

この記事では「果物類」に分類される食品について、それぞれに含まれている栄養素や効果、疑問点について扱っています。相変わらず長文ですがご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。尚、この記事に書かれている事は私個人の意見であり、他の方の考え方を否定するつもりはありません。色んな考え方があって良いと思うので押し付けもしません。同調したい方のみ同調して下されば幸いです。
(記事作成日時:2017/6/4)


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★果物類一覧及びそれぞれの疑問点

この記事では「果物類」に分類される食品に含まれている栄養素やその効果などについて解説していきます。尚、留意点などがあるので、この記事をご覧になる前に『「豆知識集12」野菜類に関するQ&Aその1』や『「豆知識集16」果物類に関するQ&Aその1』、また五大栄養素に関しては『「健康に良い」とされる栄養素の一覧(適当まとめ)』をご覧下さい。

●ザクロ

ザクロはミソハギ科ザクロ属の植物、及びその果実の事です。原産はトルコやイランとされており、記録によれば現在より5千年以上前から栽培・食用にされてきたと考えられていますが、南ヨーロッパや北アフリカとする説もあり正確ではありません。その後、3世紀頃に中国へ伝わり、日本へは中国を通じて平安時代には伝わっていたと言われています。

ザクロは他の果物と比べると糖質はそれほど多くありません(少ない訳でもない)。またカロリーは低いですが、繊維質が多くないので食物繊維も多くありません。尚、含まれるビタミンやミネラルの特徴としてはカリウム、ビタミンC、葉酸を多少含む以外特徴はなく、栄養価が高いとは言えません。

一方で果実は全体として色鮮やかな赤色をしており、ポリフェノールの一種であるアントシアニンが豊富に含まれています。アントシアニンには強い抗酸化作用があると言われており、活性酸素の増殖を抑える事ができます。また紅茶などと同じくタンニンも含まれており、これにも抗酸化作用があります。ただしタンニンは鉄分の吸収を阻害します。ちなみに種子や果汁にはエストロゲンが含まれているとよく言われますが非常に微量であり、人間の体に効果があるような量ではありません。

●グレープフルーツ

グレープフルーツはミカン科ミカン属の植物及びその果実の事です。グレープフルーツは1750年頃に西インド諸島のバルバドスで発見されたのが最初であり、柑橘系のボンタンとオレンジが偶然交配したのが元となっています。日本においては大正時代に伝わったとされていますが、気候が合わず定着しませんでした。そのため品種は様々ですが、現在でも国内における栽培は一部の地域のみ(静岡県など)で、主に輸入に頼っています。尚、輸入のグレープフルーツは品質を保つために殺菌するための農薬が使われている事があり、もし気になるのであれば値段は高くなりますが国産を選ぶと良いでしょう。

グレープフルーツに含まれる栄養素としては、他の柑橘系の果物と同じくビタミンCやクエン酸を豊富に含んでいます。ビタミンCはコラーゲンの合成や抗酸化作用、クエン酸は筋肉内への糖の貯蔵を促す疲労回復効果があります。ただしそれ以外のビタミンやミネラルについては特徴はありません。

一方でグレープフルーツには脂肪を分解する酵素(リパーゼ等)が含まれており、一緒に食べた脂肪の分解・消化・吸収を補助する効果があります。ただしグレープフルーツの酵素がそのままの形で長時間胃や腸に滞留する事はなく、時間が経てば消化酵素によって分解され、その後アミノ酸として吸収されてしまうので、効果はあくまで一時的なものです。また酵素は熱に非常に弱く、加熱するとその能力は失われてしまいます。メディアでは酵素摂取が健康に良いと紹介される事が多いですが、過度な期待は禁物です。

ちなみにグレープフルーツにはフラノクマリン(ベルガモチン・ナリンゲニン等)という成分も含まれています。これはグレープフルーツ特有の苦味をもたらしますが特に医薬品と相互作用があり、服用した薬で意図しない効果をもたらす事があります。これが薬を服用する際にグレープフルーツが禁忌とされる理由で、市販の薬でも起こる事があるので注意しましょう。


●パイナップル

パイナップルはパイナップル科パイナップル属の植物、及びその植物の果実の事です。原産は我々がイメージする通りブラジルやアルゼンチンなどの南米が中心です。栽培・食用とされてきた時期は正確ではありませんが、最初に発見された15世紀末には既に南アメリカの各地に広がっていた事から、少なくとも数千年前から栽培・食用とされてきたと考えられています。当の日本へは江戸時代末期に伝わり、栽培が本格化したのは戦後になってからです。

パイナップルに含まれる栄養素としては、まず糖質は含まれていますが他の果物同様カロリーは低いです。続いてビタミンやミネラルについてですが、ビタミンC(多いと言われるイチゴなどと比べれば余裕で負けるレベル)とクエン酸を多く含む以外あまり特徴はありません。一方で蛋白質を分解する酵素であるプロアテーゼ(ブロメライン)が豊富に含まれており、一緒に食べる肉や魚など蛋白質の分解・消化・吸収を補助する効果があります。

これによって例えば調理前においてパイナップルの果汁に肉などに浸す事で「肉を柔らかくする」効果が得られます。また蛋白質の分子がバラけて細かくなるのでアミノ酸の吸収率を高める事ができます。その他では、例えばコラーゲンパウダーをパイナップル果汁に溶かしてしばらく置いておく事で、コラーゲンの分子がバラけて細かくなり、普通にコラーゲンを摂取するよりもアミノ酸の吸収率を高める事ができます。尚、その消化酵素やシュウ酸カルシウム(未成熟の果実に多く含まれ、粘膜を傷つける)によって粘膜を傷つける事があるため、飲む際には薄めて飲む事が重要です。更に効果を高めるためには別途サプリメントなどでアルギニン(コラーゲンの合成に深く関与、また成長ホルモンの分泌を促すとされるアミノ酸)などを補給すると良いでしょう。

ただしグレープフルーツ同様、やはりパイナップルの酵素も体の中に入れば長時間胃や腸に滞留する事はなく、酵素がそのままの形で利用される事はありません。時間が経てば消化酵素によって分解され、その後アミノ酸として吸収されてしまうので、効果はあくまで一時的なものと言えるでしょう。また酵素は熱に非常に弱く、加熱するとその能力は失われてしまいます。よってそのように生で食するような工夫が必要です。

●パパイア

パパイア(パパイア)はパパイア科パパイア属の植物、及びその果実の事です。原産はやはり中南米で16世紀にヨーロッパ人が発見したのが最初と言われており、先住民族が既に食用としていた事からそれよりも遥か前から食べられてきたと考えられます。日本には明治時代以降に伝わり、九州や沖縄など気温の高い地域で栽培が始まりました。

パイナップルに含まれる栄養素としては、まず糖質は含まれていますが他の果物同様カロリーは低いです。そしてあまり知られていませんが、パパイアにはビタミンCが豊富に含まれています。これはビタミンCを多く含む事で知られるイチゴとちょうど同じぐらいの量です。またその酸っぱさをもたらすクエン酸も豊富に含まれています。

一方でパイナップルと同じく、パパイアには蛋白質を分解する酵素であるプロアテーゼ(パパイン)が豊富に含まれており、一緒に食べる肉や魚など蛋白質の分解・消化・吸収を補助する効果があるとされています。ただしそれは「未成熟のパパイア(いわゆる青パパイア)」での話であり、熟したパパイアにはそれが殆ど含まれていません。よってパイナップルのように利用するためには未成熟のパパイアを取り寄せる必要があります(笑)

●メロン

メロンはウリ科キュウリ属の植物、及びその果実の事です。原産はインドで紀元前2千年頃より栽培・食用とされてきたと言われています。しかし当時のメロンはまだ他のウリ科の野菜よりも少し甘い程度であり、紀元前5世紀頃にヨーロッパに渡った後、温かい地域で長い時間をかけて少しずつ甘くなるよう品種改良を繰り返して現在に至ります。日本へは甘くなった品種が明治時代以降に伝わり栽培が始まりました。

ちなみに品種改良される遥か前の品種としては既に弥生時代に伝わっており、現在でも雑草メロンとして群生している場所(西日本)があるそうです。その他の豆知識として、よく言われるマスクメロンの「マスク」とは麝香(ジャコウ:雄のジャコウジカの腹部にある香嚢(ジャコウ腺)から得られた分泌物を乾燥させた生薬の事)のような強い香りの事を言い、厳密には品種名の事ではありません。

そんなメロンに含まれる栄養素としては、まず糖質は含まれていますが他の果物同様カロリーは低いです。続いてビタミンやミネラルついてですが、メロンはビタミンCを含みます。ただしビタミンCを多く含む事で知られるイチゴなどと比べると勝負にはなりません。一方で他のウリ科の野菜同様、カリウムは豊富に含まれており、ナトリウムの排出を促す事で血圧を抑える効果や浮腫を予防する効果などがあります。

尚、メロンにはパイナップルなどと同じように蛋白質を分解する酵素であるプロアテーゼ(ククミシン)が含まれており、一緒に食べる肉や魚など蛋白質の分解・消化・吸収を補助する効果があるとされています。ただしパイナップルやパパイアと比べるとその作用はあまり強くなく、同じような利用の仕方は残念ながらできません。


●スイカ

スイカはウリ科スイカ属の植物、及びその果実の事です。スイカは野菜ですが果物の扱いを受ける事が多いため、一緒に紹介しています。原産は南アフリカの熱帯地域で、紀元前5千年から栽培・食用とされてきたと言われています。日本へ伝わった時期は正確ではありませんが、少なくとも室町時代以降に伝わったとされています。

スイカは他のウリ科同様にカリウムを多く含んでおり、ナトリウムの排出を促す作用があります。水分も多いため、発汗した際の水分補給には適していると言えると思います。ただしカリウムが不足しているなど元々水分代謝が悪化している人では、浮腫や発汗異常をかえって悪化させる事があります。尚、スイカの果肉の赤みはβカロテンやリコピンなどのカロテノイド類によるものですが、そのように水分が非常に多いため、βカロテンが多いとして知られるニンジンと比べると天と地ほどの差があります。

日本ではスイカを夏場に食べる文化があり、前述のように大量に発汗した際の水分補給には適していますが、発汗していない状態では単に尿の量が増えたり、余分な水分が排出できず体に溜まるだけです。栄養価の高いとはとても言えません。ちなみにスイカから発見されたアミノ酸の一種として、血流を促す作用があるとされる「シトルリン」があります。よってこのシトルリンがある事を理由に「スイカに健康効果がある」事をよく謳われますが、日本のスイカでは含有量がかなり少ない(砂漠など過酷な環境で生育されたスイカに限られ、シトルリンの効果を狙う場合サプリメント利用が基本)ため、期待しない方が良いでしょう。

●桃

桃はバラ科モモ属の植物、及びその果実の事です。原産は中国で現在から数千年前から栽培・食用、またヨーロッパには紀元前4世紀頃の時点で既に伝わっていたと言われています。当の日本においても歴史は古く、縄文時代の遺跡から発見されている事から、それ以前から食用とされてきたと考えられています。ただし本格的に栽培が始まったのは海外の文化が入る明治時代以降や戦後になってからです。

桃はビタミン・ミネラルでは特に多い栄養素がなく、食物繊維も多くないため、果物の中では栄養価が高いとはとても言えません。ただしカロリーが低く、糖分や水分はそれなりに含まれているため、水分補給には適していると言えると思います。

ちなみにこれはどうでも良い情報なのですが、私は桃アレルギーなので食べる事ができません。私の場合果実を食べると喉が痒くて耐えられなくなるのですが、その症状が出たのは高校を卒業して以降です。私は明確に「大好物」と言える食品は多くないのですが、その中でも桃は大好物の一つなので食べる事ができなくなって悲しい限りです。

●バナナ

バナナはバショウ科バショウ属の植物、及びその果実の事です。原産はマレーシアやフィリピンなどの東南アジアで、いつ頃から栽培・食用とされてきたかは正確ではありませんが、現在より数千年前から食べられてきたと考えられています。その後長い時間をかけて世界各地へ広がっていき、日本へは明治時代に台湾を通じて伝わったのが最初と言われています。
バナナに含まれるビタミンではビタミンB6やビタミンCがあり、他の果物と比べれば特にビタミンB6を多く含んでいます。ビタミンB6は蛋白質の代謝に関係する他、脳内において神経伝達物質を合成する際に使われ、精神を落ち着ける効果があります。一方ビタミンCについては、ビタミンCを多く含む事で知られるイチゴなどと比べると多いとは言えません。またミネラルに関しては「多い」とは言えませんが、カリウムやマグネシウムなどを含んでいます。

特にバナナの特徴として挙げられるのが豊富に含まれる糖質です。その分、アボカドなどを除けばカロリーもあるため、運動時のエネルギー源として非常に効果的です。一方でバナナは「食物繊維が豊富に含まれる」とよく言われますが、そもそも「繊維質が少ないからこそ、運動間でも手軽に食べる事ができる」訳で、実際には食物繊維はそれほど多く含まれていません。

そんなバナナでは「朝バナナダイエット」という言葉が流行した事がありましたが、前述のようにカロリーがそれなりにあり、糖質も多いため、私はダイエットには向いていないと考えています。食物繊維に関してもそもそもビタミンやミネラルをバランス良く摂ろうとすれば、自然とメニューに植物性の食品が増えているはずで、意識的に食物繊維を摂る必要がないはずです。それに便通を改善するだけで脂肪が減ったら誰も苦労しません。やはりバナナは運動前中後における栄養補給目的で利用するのが一番適しているでしょう。


●リンゴ

リンゴはバラ科リンゴ属の植物、及びその果実の事で、正式名を「セイヨウリンゴ」と言います。原産は様々な説がありますが、スイスにおいて現在から4千年前のリンゴの化石が発見されていたり、「アダムとイブ(旧約聖書)」に代表されるように古代の神話にも登場する事などから、少なくとも数千年前から栽培・食用とされてきたと考えられます。日本へは平安時代に伝わったとされていますが、当時のリンゴは中国原産で伝わった「和リンゴ」であり、現在のような「西洋リンゴ」が伝わったのは明治時代になってからです。

リンゴはカロリーが低く糖質を多く含む点以外、ビタミンやミネラルに関しては多く含まれていません。よって栄養価が高いとは決して言えません。一方でリンゴは果肉が空気に触れる事で変色していきますが、これはカテキンやケルセチンなどのポリフェノールを豊富に含んでいる証拠であり、強い抗酸化作用があると言われています。ただしカテキンは鉄分の吸収を阻害します。

またリンゴの皮にはウルソル酸という成分が含まれており、これにはコラーゲンの構造を正常化する作用、筋肉の萎縮を抑える作用及び筋肉の合成を補助する作用、癌細胞増殖の抑制作用などがあると言われています。もちろん単にリンゴの皮を食べるだけでは人間の体に影響を及ぼすほどの量を摂る事はできませんので、基本的にはウルソル酸を抽出したサプリメントでの利用になります。

●イチジク

イチジクはクワ科イチジク属の植物、及びその果実の事です。原産は古く、残されている記録ではヨルダンの遺跡において現在から1万1千年以上前の種が発見されている事から、少なくともそれ前から栽培・食用とされてきたと考えられています。日本へはペルシャから中国を通じて江戸時代に伝わったとされています。

イチジクもバナナと同じくカロリーが低く糖質を多く含むという点以外、ビタミンやミネラルに関しては多く含まれていません。よって栄養価が高いとは決して言えないと思います。一方でイチジクには蛋白質を分解する酵素であるプロアテーゼ(フィシン)が豊富に含まれており、一緒に食べる肉や魚など蛋白質の分解・消化・吸収を補助する効果があると言われています。

ただしやはりイチジクの酵素も熱に弱く、また体の中に入れば長時間胃や腸に滞留する事はなく、酵素がそのままの形で利用される事はありません。時間が経てば消化酵素によって分解され、その後アミノ酸として吸収されてしまうので、効果はあくまで一時的なものと言えるでしょう。

●サクランボ

サクランボはバラ科サクラ属サクラ亜属の植物、及びその果実の事で、日本語では桜桃とも呼びます。原産は正確ではありませんがヨーロッパ各地に自生しており、数千年以上以前から栽培・食用にされてきたと言われています。日本においては江戸時代に中国を通じて伝わりましたがあまり普及せず、現在のサクランボの元となった品種は明治時代に伝わり、そこから全国的に栽培が始まりました。

サクランボは糖質、葉酸、カリウムを含む以外、ビタミンやミネラルに関しては特徴がありません。よって栄養価が高いとは言えないと思います。一方で海外産及び輸入される品種に限っては色鮮やかな紫色をしているものがあり、これには強い抗酸化作用があるとされるアントシアニンが豊富に含まれています。