2017年7月10日月曜日

「豆知識集7」トレーニングに関するQ&Aその2

この記事では『「トレーニング」に関するQandA』について私なりにまとめています。特にトレーニング前後で行うウォームアップ・クールダウン、トレーニングを行う頻度、トレーニングを行うための食事法などについて扱っています。

相変わらず長文ですがご興味のある方は下記「続きを読む」よりどうぞ。尚、この記事に書かれている事は私個人の意見であり、他の方の考え方を否定するつもりはありません。色んな考え方があって良いと思うので押し付けもしません。同調したい方のみ同調して下されば幸いです。
(記事作成日時:2017/4/23, 最終更新日時:7/10)


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★クールダウン(クーリングダウン)について

激しい運動を行った後では自分が気付いていなくても体の様々な部位に疲労が蓄積しており、その状態を放置すると次の日にも疲れが残る事があります。例えば立った状態で垂直に膝を曲げ伸ばしする「スクワット」がありますが、この運動を繰り返す事では太ももの筋肉はもちろん、足首や膝などの関節にも疲労が蓄積します。その疲労が次の日まで残り、更にまたその次の日へも持ち越された場合、疲労は筋肉や関節に蓄積していく一方になり、それはいずれ様々な慢性的な怪我(靭帯・筋肉・腱・関節の炎症や疲労骨折など)にも繋がっていくでしょう。よってその日の疲労はできるだけその日の内に取り除き、疲れを次の日に残さないような「運動後のケア」が必要なのです。それをクールダウンと言います。

●クールダウンで実際にすべき事とは

クールダウンでは簡単に言えば「運動を行って上がった体温を下げる」という事を行います。何故体温を下げる必要があるのかというと、「体温が上がった状態」というのは「運動に適した体の状態」であって、「休息に適した状態ではない」からです。よって体を休めるためにはできるだけ平常時の体温まで戻すという事が重要です。ただし急激に体温が下がってしまうと、それはそれで血流が滞り「運動時の疲労物質が流れず蓄積しやすくなる」事があります。ですのでクールダウンでは「血流を促しながら少しずつ体温を下げていく」という事が重要になります。

運動直後のクールダウンではまず軽めの運動、例えばジョギングなどを行いましょう。この時に行う運動は血流を促し疲労物質を体の一部に滞らせないようにする事が目的であり、意識的に深く呼吸を行いながらゆっくりと走ります。その際、筋肉を解すためにも少し上へ跳んだり、手をブルブルさせたりして全身の筋肉を震わせるとより効果的です。

その後、今度は体を動かしながら行うストレッチ(反動を使ってリズミカルに伸ばす)で筋肉をほぐします。それが終わったら最後に通常のストレッチ、すなわち反動をつけずにゆっくり(20~30秒ほど)と筋肉や関節をを伸ばすようなストレッチを行いましょう。クールダウンは練習やトレーニングの最後に行うものですので、どうしても動作が雑になりがちですが、激しい運動を行う頻度が高い人ほどそういった「運動後ケアの積み重ね」は活きてくるのです。毎日一つ一つが雑にならないよう注意しましょう。

●「アイシング」について

例えば足首を捻っていわゆる「捻挫」をしてしまった時、筋肉、腱、靭帯、骨、血管、皮膚、軟骨など、怪我の仕方によって様々ですが、足首にある様々な細胞が破壊されています。血管が損傷していれば内出血を引き起こしてその血液が蓄積しますし、損傷した細胞などがあればそれも老廃物として周囲に蓄積します。また損傷した細胞を修復しようと血液や栄養素が集まり、その反応を促進させるために周囲の温度を上昇させます。そうして新陳代謝を促す事で素早く修復しようとしているのです。

しかし必要以上に炎症の範囲が広がってしまうと損傷していない部分にまで損傷が及び、逆に治りが遅くなってしまう事があります。特に運動中のような「運動をするのに適した状態」での怪我では、ただでさえ血流が促進されているので、腫れや痛みが残りやすい状態と言えます。「アイシング」はそのような怪我をした後に起こる反応を遅らせる事ができ、痛み、炎症、腫れの範囲を最小限に抑える事ができます。

もちろんこれは「怪我をした後」ではなく単に「疲労を感じた後」も効果的です。ただしこの「アイシング」はクールダウンとは別に考えなければなりません。何故ならクールダウンは「疲労を残さない」事が目的であり、運動後いきなり体を冷やすと血流が滞って逆に疲労が滞ったままになってしまうからです。「怪我をした直後」でない限り、基本的に「アイシング」は体操やストレッチなどを行い、少しずつ体の熱を取った後に行う事をオススメします。運動後汗をかいたままの状態ですぐに冷却スプレーなどで体を冷やす人もいますが、よほど関節に痛みや腫れがあったり、筋肉が張ったりしていなければ、ある程度体温が下がってからの方が良いでしょう。まぁ人それぞれですけどね。

●「RICE処置」とは

特に怪我をした直後のアイシングでは「RICE」という方法で患部を冷やす事が基本です。RICEという4文字はそれぞれ頭文字を取ったものであり、Rが「Rest」、Iが「Ice」、Cが「Compression」、Eが「Elevation」という意味を持っています。

それぞれを簡単に説明すると、まず「Rest(レスト)」は「安静」を意味しており、アイシングを行う際には運動を行ったりせずに安静状態にしておく事が重要になります。前述のように怪我をした瞬間から既にその患部を修復するための反応は始まっており、血流があまりにも促進されると炎症が周囲に広がってしまう事があります。それでは逆に治りが遅くなりますからできるだけ安静が必要なのです。続いて2番目の「Ice(アイス)」ですが、これはその名の通り「冷やす」という意味があります。患部を直接冷やす事で血管を収縮させ、それによって出血を最小限に抑える事が重要です。

続いて3番目の「Compression(コンプレッション)」ですが、これは「圧迫」という意味があります。患部の腫れは表面的に見れば四方八方に広がるのですが、実は体の奥(下方向)へも範囲が広がっています。ですので怪我をした直後は患部に多少の圧迫を与え、立体的にも範囲が広がらないようにする事が重要です。ただし怪我によっては患部の熱や腫れの「逃げ道」も必要になる事があり、テーピングや包帯などで圧迫する際には少し工夫が必要になります。最後に「Elevation(エレベーション)」ですが、これは「挙上」を意味しています。前述の通り患部の血流が速いと範囲が広がってしまい、怪我の治りが遅くなる事があります。よって患部は心臓よりも高く挙げる事が重要です。

尚、怪我直後のアイシングでは最低2~3日は患部を冷やし続ける事も重要になります。体重をかけた時の痛みではなく「平常時の痛み(何もしていなくても痛い・熱い・重いなど:特に修復が促進される睡眠時)」がある限りは冷やし続けるましょう。ただし患部に起こる炎症は本来「治そう」として起こった反応です。アイシングの目的は「炎症を起こさない事」ではなく「炎症をこれ以上広げない事」であり、炎症が起こる事自体は何の問題もありません。逆にただ冷やし続けるだけでは血流が滞ったままになり、治りは遅くなってしまう事があります。

「冷やし続ければ良い」という考えを持っている人も多いですが、痛みや腫れが引いてある程度経ったら「温める→冷やす」という事を繰り返し、敢えて患部の血流を促すという事も必要になります。もちろん最初は冷やす時間を長めに取り、少しずつ温める時間を長く(痛みや腫れがある場合には当然冷やす事を優先)するようにしましょう。それによって疲労物質や患部から出た老廃物を取り除いた方が、ただ冷やし続けるよりも治りは早くなります。ちなみに温水→冷水という形で交互に全身を浸からせる方法もありますが、心臓に負担がかかるため個人で行うのは非常に危険です。体の一部分だけにしておきましょう。




★ウォームアップ(ウォーミングアップ)について

運動を行う際には準備運動を行って体温を上げておき、筋肉や関節などが正常に機能するようにします。またそれによって血流が滞る事による怪我を最低限予防する事ができ、パフォーマンス能力を向上させる事ができます。それが「ウォームアップ」の目的です。特に冬場のような気温の低い日では関節や筋肉の温度が下がり、血流が滞る事があります。その状態では自分本来の能力を発揮する事ができないどころか、いきなり激しい運動を行うと様々な怪我にも繋がります。しっかりとウォーミングアップで体を温めてから運動を始めましょう。

これはウォームアップ後に行う本格的なトレーニングや練習の激しさには関係ありません。どんな運動でも準備は必要なのです。しかしながら環境によっては十分にウォームアップの時間や場所が取れない事もあるため、そういう場合のためにも「どんな環境であっても短時間で体を温める(ウォームアップで行う内容を効率化させる)」という事が重要になってきます。

●ウォームアップは単なる準備運動ではない

ウォームアップでは最終的に「体を運動をするために適した状態にする」事が目的な訳です。ですので準備運動だからといっていきなり激しく体を動かした場合、それも怪我に繋がる事があります。よってウォームアップでは少しずつ「体を動かしていく」という事が非常に重要になります。例えば最初に軽めのジョギングから始めたとしたら「軽いジョギング→準備体操(簡単なもの)→静的なストレッチ(筋肉を伸ばした状態で反動をつけずに数秒キープする)→動的なストレッチ(リズミカルに体を動かしながら筋肉を解す:サッカーや野球の練習でよく見るようなブラジル体操等)→少し強度の高い運動(ダッシュ等により筋肉にやや強い刺激を与える)→実際のトレーニング・練習」というような形で、少しずつ体を大きく動かすように行います。

ただし例え軽い運動であってもウォームアップはその日における「最初の練習メニュー」とも言える訳です。例えば体のキレや足の運びなどその日によって体調は異なる訳で、最初に行う単なるジョギングもその「動作や体調の確認」という大きな目的があるのです。また準備体操やストレッチなんかもそうですが、「筋肉を伸ばす」という目的があるのはもちろん「筋肉の張りを調べる」という目的があります。毎回運動前にウォームアップを行うのは大変ですが、そのようにウォームアップは「自分の体と対話をする時間」であり、毎日積み重ねれば今の自分の体の状態をより深く知る事ができます。

尚、そのような確認を行うためには「どの動作でどの筋肉が使われるか」をある程度知っておく必要があります。例えばジョギングであれば「少し上にジャンプして走る事で肩や太ももを振動させ、リラックスさせる」事ができますし、ストレッチであれば「この力加減で伸ばせば良い」という事を知っていればストレッチ効果を高める事ができると思います。毎回習慣のようにウォームアップを続けているとそのような事にも自然と気がつき、ただ「準備運動」として行っている時よりも効率良く時間を使えるようになります。その積み重ねは練習の効率化にも繋がっていくはずです。




Q.筋トレは毎日欠かさず行うべき?

A.筋トレをして筋肉の細胞が傷つくとその修復が行われます。また筋肉を動かせばそのエネルギーが消費され、当然そのエネルギーも補給しようとします。特に筋肉を動かすために必要なエネルギーである「グリコーゲン」は筋トレ後数時間後まで合成が促進され、また筋肉を修復するための材料となる「蛋白質」は2日程度の間合成が促進されます。つまり少なくとも筋肉を修復・回復させるには最低でも2日は必要であり、毎日同じ部位を鍛える事は筋肉を大きくする上で効率が悪いと言えると思います。よって筋トレの頻度としては「1日おきに鍛える部位を変える」あるいは「同じ部位を行う場合、最低でも2日以上は間隔を空ける」という事が重要になるでしょう。

ただし時には運動を行わない「完全休養日」を設ける事も必要です。高負荷による肉体の消耗の激しい筋トレを行う場合には、例え毎日違う部位を鍛えていても回復が間に合わなくなってくる事があります。例えば全力で走った後やその翌日に起きた後では食欲が減衰する事がありますが、それと同じで自分が思うように栄養が摂れない事もあるかもしれませんからね。また筋肉へ大きなストレスを与えると活性酸素を増殖させ、細胞の酸化を招き、それが蛋白質の効率良い合成を妨げる事もありますし、激しいトレーニングは痛みを伴うもなので、それが連続すればどんなにトレーニングが好きでもモチベーションの低下に繋がります。よって「3日に1回程度は完全休養日を設ける」という事も重要と言えるでしょう。

そのような完全休養日では「チートデイ」を設けるのも良いでしょう。チートデイは数日~数週間に1回程度、一時的に食事の量を増やす日(体脂肪率が高い人では効果はない)の事です。内容としては炭水化物を中心とし、蛋白質・ビタミン・ミネラルは適度に、脂肪は控えめ(完全制限は必要なし)、摂取カロリーは平日の倍以上の高カロリー食が目安となります。その食事内容でカロリーを摂取するためには相当量食べなければならず、食事=トレーニングと言えるほど人によってはきついですが、栄養を補給する意味でも気分転換の意味でも時にはそういう日も必要です。尚、筋肉内にあるグリコーゲンの貯蔵量を回復させる事を「グリコーゲン・ローディング(カーボ・ローディング:下記にて説明)」と言います。

ちなみに一定期間トレーニングを中止する事を「レイオフ」などと言います。筋肉は長い時間をかけて鍛えるほど衰えるのが遅くなり、また例え衰えてもトレーニングの量を戻せば元の筋肉量に戻るのも早いという特徴があります。これにより筋肉量が落ちない程度にまで筋トレを休止、あるいは強度・セット数・頻度などを下げ、モチベーションが回復した後で再びトレーニング再開させるという調整法がこれです。ただしトレーニングを完全に休止する場合、2週間以上経過するとさすがに筋力の低下が著しく起こるため、頻度としては数ヶ月に一度とし、一度の期間は1~2週間がベストです。ちなみに逆に激しい運動を行った次の休養日に敢えて体を動かす事を「アクティブレスト」と言います。




★サプリメント・プロテインを飲むタイミング・量・内容・頻度等

●ホエイプロテインとカゼインプロテイン

タンパク質を補給する商品として「プロテイン(プロテインは単純にタンパク質を英訳しただけ)」があり、特に乳製品由来のタンパク質では「ホエイ」と「カゼイン」の2種類があります。この内、ホエイは吸収が速いという特徴があり、激しい運動において筋肉を消耗した後における栄養補給に適しています。一方、カゼインはホエイよりも吸収はかなり遅く、運動直後に摂っても間に合いません。その代わりに少しずつ吸収させる事ができ、特に飲むタイミングを選ばないというメリットがあります。ただしカゼインが含まれるプロテインには乳製品由来の「乳糖」と呼ばれる糖が多く含まれています。この乳糖を分解する能力は人によって大きな差があり、分解能力が低い人ではお腹が緩くなる原因になります。

「プロテインは牛乳に溶かして飲む」というイメージを持っている人は多いのですが、牛乳はホエイよりカゼインを多く含まれているため、ホエイプロテインを牛乳に溶かすと逆に吸収は遅くなります。もしホエイプロテインを飲むのであれば水に溶かして飲むのが一番です。一方、カゼインプロテインに関しては牛乳に溶かしても問題ありませんが、ホエイもカゼインも結局何もしていない状態で飲んでもその多くが無駄(摂り過ぎたタンパク質も脂肪になるため)になるだけです。どちらも基本的には運動を行った日に飲むようにしましょう。

ちなみにホエイプロテインの中では乳糖などの不純物を取り除いたタイプや、プロテインの分子をペプチド化(蛋白質とアミノ酸の間の状態)させて更に吸収率を上げたタイプ、ビタミンやミネラルなど様々な栄養素を添加したタイプなど様々な種類があります。その他、乳製品由来以外のプロテインでは大豆製品由来のソイプロテイン(ホエイよりも吸収は遅いがカゼインよりは速い)もあります。

●アミノ酸やタンパク質の摂り方について

糖を含む食品を食べて血糖値が上がると「インスリン」が分泌されます。このインスリンは血糖値を下げる働きのあるホルモンですが、実は糖を細胞へ取り込む事で血糖値を下げており、その際には糖と共にアミノ酸も一緒に細胞へ取り込んでいます。つまり糖とアミノ酸を一緒に摂れば、効率良く細胞へ吸収させる事ができるのです。ただし糖には「吸収の速い糖」と「吸収が遅い糖」があるため、プロテインの吸収スピードに合わせて摂る糖の種類も変える必要があります。

つまり吸収の速いホエイプロテインを飲む際には同じく吸収の速い糖を、吸収の遅いカゼインプロテインを飲む際には吸収の遅い糖を一緒に摂るようにすると無駄がないでしょう。これについては下記にある「糖の摂取」で説明しているのでそちらも合わせてご覧ください。また無論ですが普段運動を行っていない人では、わざわざプロテインのような商品を利用するメリットはありません。巷では「プロテインダイエット」なるものがあり、「蛋白質を摂っただけで痩せる」と勘違いしている人も多いですが、あれは食事を置き換える事で摂取カロリーが減る事を狙うものであり、蛋白質を摂っただけでは脂肪は決して減りません。

●タンパク質を摂る量について

これは運動習慣によっても大きく左右されますが、例えば体重60kg程度の人ではだいたい1日に60g程度のタンパク質が最低限必要と言われています。よって60gという量を普段の食事で摂る事ができるのであれば、基本的にプロテインなどの栄養補助は必要ありません。ただしタンパク質を多く含む肉、魚、乳製品、卵、大豆等を食べる習慣が乏しかったり、普段は少食でそれを食べる事が難しかったり、アレルギーなどで物理的に食べる事ができない人、更には激しい運動を行って食欲が低下している人などでは、その60gという数字を達成するのは意外と難しいと思います。そんな人ではプロテインが必要になる事もあります。運動をしている人では食事とは別にプロテインで補給した方が良いでしょう。

しかし1度に吸収する事のできるタンパク質の量にも実は限りがあって、例えば体重60kg程度の人では1回に30g程度(多くても40gまで)しか吸収できないと言われています。つまり普段の食事でタンパク質が不足しているからと言って、一度に大量のプロテインを飲んでも臓器に負担をかけるだけで、その多くが無駄になってしまうという事です。よってプロテインを利用する場合には、普段の食事の内容を見てスプーンで正確に量を計測し、摂り過ぎないようにする事が重要になります。我々のような一般人では1日30g程度を1回、あるいは15g程度を2回に分けて飲むだけで十分でしょう。尚、水の量はプロテインが溶ける程度の量であればお好みで問題ありません。

一方、激しい運動を行う習慣がある人では・・・これも人によりますが、例えば体重60kg程度の人ではだいたい1日に最低100~120g程度必要となる場合があります。1回40g程度のタンパク質を摂ろうとした場合、プロテインではだいたい3回に分けて飲む事になりますね。もちろん普段の食事にもタンパク質は含まれていますから、そのままそれを飲むのでは単に臓器に負担をかけるだけです。よってそれだけプロテインを重視するのであれば、普段の食事におけるタンパク質の量、普段の食事の回数や時間、プロテインを飲む1回の量やその回数、プロテインを飲む時間、運動を行う時間や回数、運動の強度などを自分なりに調節しなければならなくなるでしょう。ちなみにボディビルダーのような人ではそれらを調節し、プロテインと普段の食事を合わせて1日に350gやそれ以上の蛋白質を摂取している人もいます。まぁそこまで徹底的に行う人はボディビルダーぐらいですけどね。

●プロテインを飲むべきタイミングについて

前述のようにプロテインには様々なタイプのものがありますが、基本的には運動を行った後に飲むのがベストです。ただし激しい運動を行って血流が促進されると筋肉に血液が集中するため、運動直後に大量のプロテインを飲むと消化不良を起こす事があります。例えば食事をした後すぐ走ったりすると横っ腹が痛くなる事がありますよね。あれも食べ物を消化するために血液が臓器に集中しているからで、「脾臓」という血液を作るための臓器の場所が痛くなっているのです。それと同じで、プロテインを消化するためにも臓器へ大量の血液が必要です。運動を終えたすぐ後ではなく、30分程度の時間を空けてから飲む方が良いでしょう。尚、同時摂取としては蛋白質の吸収を促す糖(前述したようにプロテインやアミノ酸の吸収速度に合わせ糖の種類を変える必要がある)や筋肉の合成に関与するビタミンB6の摂取がオススメです。

その他のタイミングとしては起きた後、寝る前、空腹時がオススメです。ただしやはり「起きてすぐ」や「寝る直前」は消化器への負担を考え避けるべきです。1時間ほど時間を空けるようにして摂りましょう。またプロテインはあくまで「蛋白質を摂取する」というのが目的のため、プロテインだけではカロリー(エネルギー)が圧倒的に足りません。筋肉を大きくするためにタンパク質が必要という事はよく知られていますが、実はカロリーがなければ筋肉は維持できません。もちろん海外製では高カロリーのプロテインもありますが、プロテイン「蛋白質が足りない場合の栄養補給」として位置づけ、普段の食事とは別に摂った方が良いでしょう。これはビタミンやミネラルも同様です。サプリメントだけに頼り切らないように。





●糖の摂取について

激しい運動を行って体内にある糖が枯渇するとエネルギー切れとなり、パフォーマンス能力が低下します。またその状態が続くと「糖新生(アミノ酸から糖を得る事)」が起こりやすくなり、筋肉が分解されてしまいます。更に、運動後数時間程度の間は筋肉内のグリコーゲン(糖の一種)の合成が促進されると言われています。よって運動前・中・後(運動前における吸収が速い糖の大量摂取は、運動中における低血糖を招く事があるので注意)においては糖の摂取が非常に重要です。糖はインスリンの分泌を促し、糖と一緒にアミノ酸も取り込む事ができます。よって糖を摂取する際にはアミノ酸を一緒に摂取する方が効果的です。

吸収の速さをランキングにしてみると、デンプン<アミロース・アミロペクチン等<トレハロース等<クラスターデキストリン<デキストリン(糊精)<マルトース(麦芽糖)・ラクトース(乳糖)<スクロース(ショ糖)<マルトデキストリン(≒粉飴)≦フルクトース(果糖)≦グルコース(ブドウ糖)という順です。運動時に摂取するサプリメントしてよく利用されているのは「クラスターデキストリン」「マルトデキストリン(粉飴)」「フルクトース(果糖)」「グルコース(ブドウ糖)」ですね。以下ではそれぞれの特徴について簡単に説明したいと思います。

・クラスターデキストリン(CD)
まず「クラスターデキストリン」についてですが、これはエネルギー補給源としては比較的吸収の遅い糖と言えます。ただしそれは腸においての話であり、胃での通過速度は非常に速い(胃への負担も低い)という特徴があります。これにより血糖値は急激には上昇させずに安定化させ、運動中におけるパフォーマンス能力を低下させません。吸収は遅いので運動後のエネルギー補給には適しませんが、運動前にあらかじめ摂取しておく、あるいは運動中に摂取すれば運動中のエネルギー切れを持続的に抑える事ができます。

・マルトデキストリン(MD)
続いて「マルトデキストリン」についてですが、マルトデキストリンはグルコースがたくさん連なった形をしており、非常に消化・吸収がしやすいという特徴があります。その吸収の速さは最も吸収が速いグルコースに匹敵するとも言われており、運動の前中後どのタイミングでもすぐにエネルギーとして利用する事ができるでしょう。ただし吸収が速いため持続力はなく、運動前に大量摂取すると運動中にインスリンが大量に分泌されて低血糖を招く事があります。基本的には運動中での摂取がオススメです。

・フルクトース(果糖)
続いて「フルクトース」についてですが、フルクトースは果物に多く含まれている糖の一種で、吸収が非常に早いという特徴があります。その吸収の速さはグルコース並かそれ以上とも言われており、それによってすぐにエネルギーとして利用する事ができます。ただしグルコースとは違って血糖値を上昇させずインスリンを介さずに吸収されます。つまり同時に摂取するアミノ酸等の吸収を促す事ができないという事です。またこれは他の糖でもそうですが、特に果糖においては大量に摂ると中性脂肪の合成を促進させる(研究によると40g以上)と言われています。よって脂肪を減らす事を目的にして運動を行っている人にとっては、運動時の栄養補給には適していないかもしれません。ちなみに砂糖の主成分であるショ糖(スクロース)は果糖とブドウ糖が結合したものであり、砂糖をエネルギー補給として利用する場合には果糖も摂取する事になります。果糖だけを摂取する場合には甘みが強く出るため、ドリンクを飲みやすくする目的で使うのは個人的にはありだと思います。

・グルコース(ブドウ糖)
最後に「グルコース(ブドウ糖)」ですね。グルコースは糖の中で最も吸収が速く、血糖値を急激に上昇させてインスリンの分泌を促します。これによりアミノ酸と共に素早く細胞内へ吸収させる事ができます。しかし吸収が速いため持続力がなく、グルコースだけで糖を補給しようとすれば一度に大量に摂らなければなりません。そのため胃への負担やパフォーマンス能力の低下も心配されます。一方、前述したマルトデキストリンのように「グルコースがたくさん連なっている糖」を利用すればより少ない量で済むため、飲むべき量を減らす事ができます。その意味ではグルコースよりもクラスターデキストリンやマルトデキストリンを利用した方が良いでしょう。

・糖を補給する際の摂取量について
1回の摂取量としてはその人の現在の筋肉量・運動の量・糖の種類によって様々ですが、基本的には体重×1g程度、水に対してはだいたい4~6%の濃度になるよう溶かすと吸収率を高める(胃に長時間残留させないため)事ができるそうです。それを踏まえると、例えば体重60kgの人では1000mLにマルトデキストリンを40g~多くて60gが限度。また運動中の補給とは別に運動前に補給していたり、運動後に補給する場合にはそれを踏まえて、例えば500mLに20~30g、あるいは200mlに10g前後というように、糖や水の量を調節すると良いでしょう。

それをその日に行う運動中に全て使い切るように飲みます。運動後(運動を終えて30分程度空けた後)にプロテイン等を摂取する場合を考え、セット間等1回に口にする量や頻度を調節し、用意したドリンクが「運動終了時に大量に余っている」という事がないようにしましょう。ちなみに運動後においてプロテインを飲む場合、急激に血糖値を上昇させるような糖よりも血糖値を安定化させる糖(果糖等血糖値を上昇させない糖はNG)の方が個人的にはオススメです。

・ビタミンB1、クエン酸、カルノシン等
糖と一緒に摂取すべきなのは、糖の代謝を補助する働きがあるビタミンB1、グリコーゲンの貯蔵を促す働きのあるクエン酸、糖が消費された時に作られる乳酸の分解を促すカルノシン等が挙げられます。その他ではインスリンの感受性を高める作用があるクロム(クロミウム)、バナジウム、αリポ酸、コロソリン酸(バナバ茶)、アルギニン、共役リノール酸(CLA)、ビタミンD、マグネシウム等をトレーニング後やトレーニング前等の普段の食事において摂っておくのもオススメです。もちろん蛋白質やクレアチンも必要になるでしょう。

●糖質制限中における栄養摂取

一定期間糖質を制限した状態が続くと、アミノ酸や脂肪等を分解して得られる「ケトン体」をブドウ糖の代わりにエネルギーとして利用するようになります。このエネルギーサイクルの事を「糖新生」と言います。しかしケトン体を利用するエネルギーサイクルに切り替わるまでにはある程度時間がかかり、その間にカロリーが足りなくなると、脂肪よりも先に筋肉等にあるアミノ酸の分解を優先してしまいます。そのため脂肪が分解されるよりも筋肉が萎む方が早くなり、糖質制限を行う度に基礎代謝が落ち、逆に脂肪が蓄積しやすい体になってしまうのです。それを防ぐためには「蛋白質や脂肪は制限してはならない」という事が非常に重要になります。

尚、糖質制限について詳しくは『「豆知識集22」ダイエット・健康に関するQ&Aその3』などをご覧下さい。

●カーボ・ローディング(グリコーゲン・ローディング)について

大切な試合前やボディビルのコンテスト前の数日間などは、筋肉内へのグリコーゲンの貯蔵を目的とした調整法が必要になる場合があります。それをカーボ・ローディング(グリコーゲン・ローディング)などと言い、ボディビルなんかでは「カーボアップ」という呼び方をする場合もあります。尚、前述したような試合前・試合中・試合後に吸収の速い栄養素(ブドウ糖・アミノ酸・その他ビタミン・ミネラル)や水分を摂る事も、目的は異なりますがローディングの一種と言えるでしょう。

方法としては、まず一時的に糖質を制限し、激しい運動を行って体内の糖を枯渇させます。それにより筋肉はより多くのグリコーゲンを蓄えようとする状態になります。そしてその状態を作った後、今度の数日間では逆に運動の強度を下げ、炭水化物と蛋白質が中心(脂質は制限)の食事をします。それにより筋肉内へ急速にグリコーゲンが補充される訳です。ちなみにですが、1週間の前半は通常の食事と運動量(すなわち糖を枯渇させるほどまでは行わない)、後半は運動量を抑えてやはり炭水化物中心の食事にするなどという方法もあり、人によって様々です。ただしボディビルや格闘技などでは体重が増え過ぎる場合もあるので食事量の管理は必須です。ただ闇雲に炭水化物を摂れば良い訳ではありません。もちろんビタミンやミネラルは制限してはなりません。

通常のカーボ・ローディングを行う際のオススメの炭水化物源は、穀類(米、パン、麺、パスタ等)、果物全般、乳製品(低脂肪・無脂肪が望ましい)、その他お菓子類全般です。脂肪が多過ぎない事が条件(油を使った野菜炒め、揚げ物、カレー、生クリームを使ったケーキなどは避けた方が無難)ですが、とにかく様々な種類の糖を摂りましょう。一方、蛋白質源は肉(ホルモン系や鳥のササミなど脂肪の少ないものが望ましい)、魚(青魚が望ましい)、卵(白身が望ましい)、乳製品(無脂肪が望ましい)です。やはりこちらも脂肪が多過ぎるものはNGです。大豆製品に脂肪が豊富に含まれている事は意外と知られていません。

またボディビルや格闘技の選手のように徹底した体脂肪率・体重の管理が必要な場合、更に「脂肪が0または0に近い事」「繊維質が少なく消化が良い事(食物繊維は糖の吸収を遅くするため)」「できれば果糖ではない事(果糖は中性脂肪になりやすく、血糖値が上がらないため)」が条件になります。糖を豊富に含んでいてもそれを満たさない食材はNG(お米とそれ以外では同じ穀類でも脂肪の含有量に違いがあったりする)ですので注意が必要です。その場合には例えばお餅、大麦、ハト麦、バナナ、里芋、山芋、ジャガイモ、サツマイモ、カボチャ、ハチミツ、牛乳(無脂肪限定。低脂肪も不可)・脱脂粉乳(品質による)などになり、食べる事のできる食材がかなり限られます。ビタミンやミネラルはサプリメントで補う必要があるでしょう。

●減量中に行う「水抜き」について

ボディビルのコンテストを目指して限りなく体脂肪率を0に近づけるような場合、カーボ・アップと合わせて、体から余分な水分を抜く「水抜き」というのが必要になる事があります。方法としては、減量末期では水やナトリウムを必要最低限の量にまで制限し、逆にナトリウムの排出を促すカリウムを摂取します。また人によっては有酸素運動を行ったり、サウナに入ったりなどして発汗を促す場合もあります。そうして無理をしてでも水を抜いて体重を減らし、脂肪をより薄く(特に脂肪に含まれる水を抜く)し、筋肉を際立てようとする訳です。ただしナトリウムは筋肉の収縮や体温調節などに必要であり、不足すると筋肉がスムーズに動かなくなる他、熱中症や心細動(心臓の筋肉の痙攣)などになるリスクが大きくなります。水抜きは素人では非常に危険なのでオススメしません。

一方、水抜き中の糖質や蛋白質の摂取量は、運動量に合わせて必要最低限(筋肉が落ちない程度まで)に留め、糖や蛋白質を過剰摂取した場合に起こる脂肪への変換を防ぐ必要があります。ただし脂肪に関してはできるだけ摂取しないように注意します。増量中ではカロリーを確保するために脂肪を摂取しましたが、減量では脂肪を摂取できないのでカロリーが制限されます。つまり筋肉の分解は避けられません。ここは増量中に行った事を信じて耐えるしかないのです。





●グルタミンの摂取について

グルタミンは人間の体に多く存在するアミノ酸の一種です。特に激しい運動を行った際に筋肉内から放出され、それをエネルギーとしてストレスから筋肉を守ろうとします。つまり強度の高い運動を行うほどグルタミンの消費量は激しくなり、万が一枯渇すれば筋肉がストレスによって酸化され、分解されやすくなります。「筋肉の分解を抑制する」とよく言われるのはこれがあるからであり、グルタミンは運動前や運動中での摂取がオススメです。またグルタミンは免疫細胞の材料や小腸における細胞のエネルギー源としても使われており、激しい運動を行って枯渇すると免疫力や栄養素の吸収率が低下します。よって運動後に補給する事も重要と言えるでしょう。

一方、グルタミンは必須アミノ酸から合成する事ができ、そのように激しい運動をしていない限りは滅多な事では不足しません。しかし実は運動をしていなくても「空腹によるストレス」というのは絶えず発生しており、運動量と比べて食事量が少なかったり、昼間に激しい運動をした日の睡眠時などでは、自分が気づかぬ内にグルタミンが放出されている事があります。つまり人によっては起きた後や寝る前など「空腹となる時間を予測して摂る」という事が必要となる場合もあります。

ただし少量では前述のように小腸の細胞にエネルギーとして吸収されてしまい、逆に大量に摂ってしまうと今度は代謝の過程で毒性のあるピログルタミン酸が作られてしまいます。量としては1回5~10g程度で十分です。ちなみにグルタミンはグリコーゲンの合成促進にも効果があると言われており、ブドウ糖と一緒に摂ると良いでしょう。

●BCAAとHMBの摂取について

BCAAは分岐鎖アミノ酸の事であり、バリン、ロイシン、イソロイシンという3種類の必須アミノ酸の事を指します。特にこの3つは筋肉の材料として使われており、これを摂る事で筋肉の分解を抑制し、合成を促進させる事ができるとされています。この内、特に筋肉の合成に深く関係するロイシンは必要量が多いとされており、バリン:ロイシン:イソロイシンでは1:2:1の割合で摂る事が望ましいと言われています。一説にはイソロイシンよりもバリンの方が若干必要量が多いという話もあり、海外製のサプリメントでは異なる比率で配合されている(5:8:4や2:3:1等)ものもあります。

そんなBCAAは吸収が速いと言われているホエイプロテインよりも更に吸収が速いため、運動前(15~30分前)・運動中・運動後での栄養補給に適しています。ただし一度に大量に摂ると下痢をするという話もあります。1回の摂取量は5~10gがベストですが、自分に合わせて量の調節が必要です。その他ではグルタミンと同じようなタイミングで摂ると良いしょう。

尚、何故ロイシンの必要量が多いのかというと、ロイシンは代謝の過程でHMBという物質になりますが、ロイシンからHMBへは5%程度しか変換されないからです。HMB自体は1日に3g前後必要とされているため、ロイシンから摂ろうとすると60g以上も必要になってしまいます。よって例えばBCAA系サプリメントの量を減らしていたり、あるいは前述のプロテインからBCAAを含む必須アミノ酸を補給する場合にはロイシンが足りない場合があり、HMBを補う必要が出てきます。

このHMBはロイシンと比べて更に吸収が速いのですが、その分2~3時間程度で排出されるため、数gを小分けにして摂るという事が重要です。例えば運動前(15~30分前)に1g~、運動中に1g~、運動後に1g~というような形です。逆にBCAAと同じく大量に摂っても意味はないと思われる(1日に6g以上摂取すると逆効果になるという話もある)ため、多くて1日5g程度にしておきましょう。ちなみにHMBはクレアチンやビタミンDを同時に摂取する事で、筋肉の合成作用を更に促進させる事ができると言われています。

●EAAの摂取について

EAAとは必須アミノ酸の事です。必須アミノ酸には「リジン(リシン)」「メチオニン」「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」「ヒスチジン」「スレオニン(トレオニン)」「トリプトファン」「フェニルアラニン」の全9種類があり、筋肉だけでなく体にある蛋白質を効率良く作るためには、この9種類全てをバランス良く摂らなければなりません。つまり前述のBCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)を摂取するだけでは不十分であり、筋肉を効率良く作るためにはBCAAを含む9種類のEAAを全て補給する必要があるのです。

ただしEAA系サプリメントの中には「トリプトファン」を配合せずに販売されている商品が数多くあります。これは何故かというと、トリプトファンとBCAAが同じ経路で吸収されるため、トリプトファンが十分量満たされるとBCAAの吸収を邪魔してしまう可能性があるからです。しかしそれでもやはりトリプトファンも蛋白質の合成に必要不可欠な必須アミノ酸な訳で、それを含まないサプリメントとしてのEAAは前述した「プロテインの完全な代用にはならない」と言えると思います。運動後に関してはやはりトリプトファンを含む全ての必須アミノ酸をバランス良く補給できるプロテインの方がオススメです。

では「EAA系サプリメントを摂取する必要がある場合」とはどのような場合かというと、やはり「激しい運動をした後」がオススメです。EAAはBCAAよりも吸収自体は遅いので「運動中の栄養補給」にはあまり適しませんが、トリプトファン以外の必須アミノ酸はバランス良く含まれているので、運動後においてはプロテインが吸収されるまでの時間稼ぎができます。実は吸収が速いと言われているホエイプロテインでも、吸収されるまで1~2時間かかると言われています。EAAはその間の時間稼ぎに適していると言えそうです。量としては1回10~15gですが、運動後にEAAと一緒にホエイプロテインも飲む場合、EAAの量は減らしましょう。

尚、激しい運動を行う際にはストレス・活性酸素が発生するため、それに抗うためにはBCAA以外の必須アミノ酸(フェニルアラニンやメチオニン等)が不足する事があります。よって「運動の直前」でなければ、運動前(15~30分前)にBCAAの代わりにEAAを摂る(ただしEAAだけではBCAAが不足する事があるので注意する)事も候補の一つになります。ただし運動を始める1~2時間前にホエイプロテインを飲む場合にはそれでも代用できるため、プロテインを飲む場合には運動前(15~30分前)はEAAよりもBCAAの方がオススメです。

ちなみにトリプトファンに関して言えば、トリプトファンは昼間では心身の覚醒を促すセロトニン、夜では眠気に誘うメラトニンというホルモンの材料になります。しかし海外ではトリプトファンの過剰摂取による代謝異常(トリプトファンの代謝物が増えると他のアミノ酸の代謝を阻害する。いわゆる「トリプトファン事件」と呼ばれていて死亡者もいる)が確認されており、その影響で海外製のサプリメントの多くはトリプトファンを配合していない、という理由もあるそうです。あくまで過剰摂取の場合ですし、そもそも過剰摂取というのはどんなサプリメントでも起こり得る事ですので、普通にプロテインを飲むだけでは何ら問題はないでしょう。

●アルギニンと亜鉛の摂取について

アルギニンは成長ホルモンの分泌に深く関与するアミノ酸、亜鉛も成長ホルモンの分泌に関わるミネラルです。実は運動中は成長ホルモンの分泌が促進されており、運動を終えるとその分泌は落ち着いていきます。つまりアルギニンや亜鉛を運動前(直前ではない)に摂っておけば、その分泌を促す事ができる可能性があります。ただしアルギニン自体は必須アミノ酸から合成する事ができ、吸収もBCAA等と比べると速い訳ではないため、運動前にEAAやホエイプロテインを摂取している場合にはそれで代用できます。それを利用しない場合に限り、運動前(やはり運動直前はNG)にアルギニンを補給しておくと良いかもしれません。尚、成長ホルモンの分泌に関係するとしてα-GPCの同時摂取も良いでしょう。

また運動前中後以外のタイミングで言うと、成長ホルモンの分泌が主に行われるのはやはり睡眠中です。よって寝る前でのアルギニンや亜鉛の摂取もオススメです。ただしアルギニン自体が強いアルカリ性のため、一度に大量摂取すると消化器に負担をかける事があります。1日に必要なアルギニンの量というのは色々説がありますが、1回5g程度を小分けにして3~4回程度摂ると負担は減ります。中和するという意味では筋肉内への糖の貯蔵を促す「クエン酸」を一緒に摂るのも良いでしょう。

更に、アルギニンには血管内にある一酸化窒素の量を増やし、血管を拡張して血流を促進させる作用があると言われています。これにより筋トレ中に起こるパンプアップを促し、筋肉への栄養補給をよりスムーズに行う事ができます。つまり摂取するサプリメントの効果を高める事ができるのです。また体脂肪率を落とした際の血管を浮き立たせる効果があります。尚、同様の作用を持つアミノ酸としてはシトルリンがあり、一緒に摂ると良いでしょう。尚、血流を促すという事で、運動前であればコーヒー、唐辛子、ニンニク、玉ねぎなどを使った料理と一緒に摂る事で、脂肪の燃焼を促す効果が高まります。

ちなみにアルギニンは蛋白質の一種であるコラーゲンの合成にも深く関与しています。それを目的にして補給する場合、同じくコラーゲンの合成に関与するビタミンCなどと一緒に摂ると良いでしょう。それが関節付近のケアにも繋がります。

●クレアチンの摂取について

クレアチンは筋肉を動かす際のエネルギーを合成(クレアチンリン酸)する際に必要な有機酸の一種で、特に瞬発的な運動を行う際に使われます。「筋力を増やしてトレーニング効率を上げる」と言われるのはこれがあるからです。しかしクレアチン自体はそのままでは吸収率が悪く、吸収の際にはインスリンを分泌させて糖と一緒に取り込む事が重要です。よって摂取の際にはブドウ糖など吸収の速い糖を一緒に摂ると良いでしょう。また少量のナトリウムがあるとその吸収が促されると言われています。

またクレアチンが筋肉の細胞へ取り込まれるとそれを薄めようとする作用が強まるため、水分も一緒に細胞へ取り込む事になります。つまりそれによって逆に細胞の外にある水分が不足してしまう事があるのです。よってクレアチンを摂取する際には多めに水分を摂る事が重要です。また水分の調節という事でマグネシウム、カルシウム、カリウムなどのミネラルも必要になるでしょう。

摂取するタイミングとしてはBCAAやグルタミンと同じです。1日2~6gを目安にそれを運動前中後、その他起きた後や寝る前などにこまめに摂る事がオススメですね。その他としてはクレアチンは「エネルギー」なので、あらかじめ貯蔵しておく事も必要です。運動のない日でもこまめに摂りましょう。





●ビタミンB12、葉酸、鉄分、銅について

これらは細胞へ酸素を運ぶための赤血球やヘモグロビンを作るために必要な栄養素です。しかし摂取したからと言ってすぐにその効果が発揮される訳ではありません。よってこれらは運動の前中後ではなく、普段の食事においてあらかじめ摂って機能させておく事が重要です。

●カプサイシン(唐辛子)、カフェイン(コーヒー等)、ニンニク、生姜等

これらは体温を上昇させて脂肪の燃焼を促す効果があると言われています。その他マグネシウム・ビタミンB2・カルニチン(脂肪の代謝補助)、必須脂肪酸(ω-3脂肪酸とω-6脂肪酸をバランス良く摂る)、EGCG(茶カテキン)・トマチジン・ウルソル酸・ラクトフェリン・ガルシニア・レシチン・共役リノール酸(脂肪の代謝補助)、グロビンペプチド・キトサン(脂肪の吸収阻害)等を普段の食事の際にサプリメント(トレーニング前後ではない)等で摂っておくと良いでしょう。

●ビタミンA(レチノール)、ビタミンB2、ビタミンC、ビタミンE、セレン等

激しい運動を行う際には酸素を消費しますが、酸素を使ってエネルギーを作る際にはどうしても活性酸素が生まれてしまいます。また激しい運動によって筋肉等がストレスを受ける事でも活性酸素は作られ、それが筋肉内あるいはその近くで増殖すると筋肉の分解を促進し、また筋肉の合成を逆に阻害(いわゆるカタボリック)します。運動前(2時間程度前)や後に行う普段の食事においては、これらの栄養素いわゆる抗酸化物質も意識的に摂取しておきましょう。

尚、水溶性ビタミンであるビタミンCとビタミンB2のようなビタミンB群は水に溶けやすいため、水分と一緒に吸収する事が重要です。ただしあまりに大量の水分を摂ってしまうと尿、汗、便と一緒に体の外へ出てしまうので、水分の摂り過ぎには十分な注意が必要です。食事で摂る場合にはできるだけ水を使わないか水を再利用し、サプリメントで摂る場合には一度に大量に摂るのではなく、こまめに分けて摂ると良いでしょう。更に水溶性ビタミンは基本的に熱にも弱いため、食事において効率良く摂るためには生食が必要です。

一方、脂溶性ビタミンは脂肪と一緒に摂る事で吸収が促されるため、「運動前の栄養摂取」にはタイミング的にあまり適しません。普段の食事の際に摂る事が重要です。水及び水溶性ビタミンとは違って体の外へ出にくいため、バランスの良い食事をしていれば不足する事はあまりありません(意識的に摂ろうとすると過剰摂取のリスクが大きい)が、特に高負荷の筋トレを行ってストレスが多くなるとビタミンA(レチノール)やビタミンEの必要量が増える事があります。

ちなみに抗酸化ビタミンであるビタミンA(レチノール)、ビタミンC、ビタミンE、そしてミネラルであるセレンを一緒に摂ると、お互いの抗酸化機能を安定化させる事ができると言われています。その他、抗酸化能力があるとされるカロテノイド類やポリフェノール類も合わせて摂っておくと更に良いかもしれません。

●カリウム、マグネシウム、カルシウムについて

これらは筋肉の収縮や体温調節の際の水分代謝に関与する重要なミネラルです。これが不足すると筋肉の収縮がスムーズにできなくなるどころか筋肉が痙攣しやすくなり、また体温調節が上手く行われず熱中症などにもなりやすくなります。特に気温が高い季節での運動では必要量が増えるため、不足が心配される場合は運動前(2時間程度前)や運動後に行う普段の食事において意識的に摂取しておきましょう。

●普段行う食事の時間・頻度について

プロテインやサプリメントのように吸収速度を早めているものは別として、調理をした食べ物を消化・吸収するためにはそれなりに時間がかかります。よって運動を行うすぐ前や後に食事を行ってしまうと運動中のパフォーマンス低下はもちろん、せっかく食べたのに効率良く食べ物を消化・吸収する事もできません。運動前後に朝食、昼食、夕食などの普段の食事を行う場合、基本的には運動を行う2~3時間前、運動を行って2~3時間後がオススメです。つまり運動の時間に合わせて食事を摂る時間を調節するという事です。

ただし運動後においては前述したような栄養補給が速やかにできない環境もあると思います。そのような場合、普段の食事の時間を早めてそれを「運動後の栄養補給」にし、できるだけ栄養が枯渇した状態が長時間続かないようにしましょう。その他寝る少し前の栄養補給(睡眠中に栄養が不足する事を避ける:寝る直前は不可)なども考えるべきです。そういった積み重ねも筋肉を維持するのには必要になる事もあります。

またそれは運動を全く行わない日や1日2回に分けて運動を行うような日でも同じです。それを行って食事の時間がズレた場合、栄養が枯渇した時間を作らないよう食事の回数を増やす(やはり寝る直前は不可)必要も出て来ると思います。その場合には各食事の内容(特にカロリー・糖・脂肪の量)を調節するのはもちろん、次の日の運動量を増やすなどして帳尻を合わせましょう。